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2005/11/14

せいろ一枚百円

 食べ物の値段ほど、時代変化を知る尺度として分かり易いものはない。さすがに米一俵の値段を問われても答えられる人は少ないかもしれないが、蕎麦やラーメンの値段なら大体の人が何らかの答えを持っている。

 先日、本棚を整理したら「東京いい店うまい店」文芸春秋編昭和42(1967)年ができきた。今も発行され続けているこの本は、味、値段、サービスの星印評価に加えて、各店の短い紹介文と主なメニューの値段が載っている。巻頭にある地図を見ると、神田淡路町付近であんこうの「いせ源」、鳥なべの「ぼたん」に並んで蕎麦の「藪」などの名前が見える。これら今も営業を続けている名店の代表として藪を選び、値段の変化を確認してみた。

最初に昭和42年(38年前)の藪そばの値段表をみてみよう。

せいろそば ¥100
天ぷらそば ¥220
鴨南ばん  ¥220

現代の感覚では、藪のせいろそば一杯100円とは随分安い感じがするが、実は当時はこれでも他の店より高かったのである。たとえば同書によれば、砂場のもりは90円、並木のもりは60円とある。

次に現在の藪そばの値段を見てみよう(ぐるナビ東京を参照)。

せいろそば ¥630
天ぷらそば ¥1575
鴨南ばん  ¥1575

30円や75円は5%消費税分だから、100=>600円、220=>1500円、すなわち約6~7倍が38年間のソバの本体値段変化である。これが大きいのか小さいのか、ちょっと判断に苦しむが、最近のソバが高くなったと思う人に以下の文を紹介しよう。

”このごろのソバは値段も高くなった。しかし他のものにくらべれば安いもので、安くて大衆に喜ばれるものを商いする冥利を感ずべきだ”。

どうですか、最近のソバの値段をよくあらわしているように思いませんか。実は、これは昭和42年版「東京いい店うまい店」のソバの部に載っているの一文なのです。私も、「昔はもっと安かった」などとつい口に出してしまうので、これからはくれぐれも気をつけようと思ったやさき、再び同書を開いたら”それにしても、せいろ一枚百円とは安い!”と思わずうなってしまいました。あなたも同じこと言ってませんか?

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