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2006/02/11

古書との出会い番外編:銀座界隈(木村荘八)

 前回紹介した「銀座ばやし:永井保」のあとがきに、この本を書くために木村荘八「銀座界隈」を参考にしたとありましたが。今回は、この木村荘八さんの「銀座界隈:東峰書房、昭和29年」の話をしましょう。
 
 本題に入る前に、いままで「古書との出会いで」紹介してきた本を振り返ると、いづれもカバーが無かったり、シミや日焼けがヒドイなどの理由で、店の外にある均一本コーナーや古書市など見つけた格安の昭和東京本でした。

 今回紹介する「銀座界隈:木村荘八」は、外箱つき別冊アルバムつきの美品であれば店内のガラスケースなどに飾られる高価な豪華本で、多少の難があっても均一本コーナーなどにはまず並びそうもない本です。私もまだ「銀座界隈」は持っていません。しかし、先日この「銀座界隈」を閲覧する機会がありましたので、今回は「古書との出会い番外編」として紹介します。

 著者の木村荘八さんは本職は画家ですが、永井荷風の墨東奇談の挿絵を描くとともに、自らも東京繁昌記、現代風俗帖、そしてここで取り上げる銀座界隈などの東京に関する紀行文を数多く書きました。

 「銀座界隈」は5章から構成されており、以下の方々がそれぞれの章を担当しています。

1.銀座論(高木健夫):東京府知事由利公正を主人公にした銀座煉瓦街計画

2.銀座煉瓦(木村荘八):江戸明治から昭和にかけての銀座の歴史

3.銀座今昔(安藤鶴夫):銀座にゆかりのある人々によるエッセイ集

4.銀座現勢図(小高志郎):昭和28年11月現在の裏通りを含む銀座の地図

5.銀座書誌(槌田満文):銀座関係の文献リスト

 別冊アルバムは、銀座の表通り1丁目から8丁目までのパノラマ写真集です

 現物をみると、永井保さんが銀座界隈を参考にした理由が分かる気がします。1)詳細な歴史と風俗の記述、2)多彩な地元関係者の話、3)豊富な挿絵や図版、4)精密な現勢図など、その後の東京本の定番構成要素が全て含まれています。しかも、それぞれの質が驚くほど高いのです。

 木村荘八は文章家としても有名でしたが、銀座界隈の装丁は画家としての木村荘八の力とこだわりが十分に発揮されています。たとえば巻頭錦絵は、四代広重作の本物の木版画が使用されており、発行後50年を過ぎた現在でも見事な色を保っています。また文章には数多くの図版が挿入されています。現勢図は、銀座の細い路地奥にある店の名前まで調べ上げて記載しています。別冊アルバムのパノラマ写真は、大通り両側が一目で分かるようにレイアウトされています。これほど丁寧な仕事は現代ではあまり見られません。

 「銀座界隈」は、なかなか現物に出会うことが難しい本ですが、もし機会がありましたら一度ご覧になることをおすすめします。なお「銀座界隈」の銀座煉瓦の章は、東京繁昌記と一緒に、ちくま文庫より出ている「東京風俗帖:木村荘八」に収録されています。木村荘八と昭和東京本に興味のある方には、この文庫本をおすすめします。

銀座界隈に入っている錦絵(四代広重作)
DSC04160

銀座現勢図の一部(三越・松屋付近とその裏の路地の店々)
DSC04168

別冊アルバム(銀座4丁目交差点付近、上側は三越、下側は和光)
DSC04152

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