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2006/05/11

清算か再燃か?

 バブルと呼ばれた時代があった、将来の値上がりを期待した投機熱が嵐のように吹きまわった時代である。年号でいえば1980年代の中ごろだから、もう20年も経っているのだが、あの時代を知るものにとっては、ついこのあいだという気がする。

 マンション、別荘、ゴルフ会員権、外車、骨董品など、あらゆる高額商品がバブルの対象となった。その中でも、もっとも目立ったのは都心の土地である。まとまった空き地があれば、それを転売するだけで相当な利益をうみだした。広い空き地がなければ、それを作ればよいと周辺の土地を次々買い上げてしまう。なかには売りたくない地主もいたが、あらゆる手段を尽くして立ち退きをせまったのである。バブル景気がしぼんだ後の町は、住民も少なくなり空き地が点在する歯抜けの町になってしまった。それは、町の景観を壊しただけでなく、住民のコミュニティも壊してしまった。このような空き地は、しばらく利用されることもなく放置されていたが、やがてその多くは駐車場となっていた。しかし、ここ1~2年、その様子が変わってきた。

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 神田神保町のさくら通りにあった東洋キネマは、無声映画時代から続いた映画館だが、バブル期に地上げされ1990年代始めに取り壊され駐車場になっていた。映画館としての命ははるか前に終えており、店や倉庫として長い間使われていたのだが、その左右非対称な建物は昭和初期のデザインとして建築歴史関係者によく知られており、東京の古い建物を紹介した本「建築探偵の冒険:藤森照信」に詳しく紹介されている。私も高校・大学時代から卒業後も、この前を通るたびにその姿を見ていた建物で、時々塗り替えれていたのを記憶している。

 先日、さくら通りを歩いたら、東洋キネマ跡地の駐車場に建築予定の看板をみつけた。地上12階建てビルの建築予告である。ここ数年、さくら通りを九段方向に向かったうなぎの今荘の先でも新しいビルが建ち今も別のビルが建築中だが、いよいよその建築の波がさくら通りの中ほどまで進んできたのである。さらに東に向かうと、すずらん通りの中ほどにあるパーキングタワーが取り壊され、こちらは10階建てビル建築予定の看板が出ている。いよいよバブルの名残の空き地が本格的に利用され始めたようである、バブルの清算である。

 ところが、神保町をさらに東に進み小川町から淡路町に向かったとき、古い建物がなくなり新たな空き地ができているのを見つけた。駿河台交差点近くにあった帽子屋がなくなり空き地が広がっているし、淡路町にあったの花屋もなくなり、その付近が歯抜け状態になっている。これは通常の開発なのか、それともバブル再燃なのか、その理由を聞こうにも既に住人は立ち退いたあとで、空き地には草が生え始めているだけである。

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