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2008/05/26

アジア路地裏風景学#5:果物屋

 その昔、東京近郊の駅前には、かならず果物屋があったという話をどこかで読んだ。私が乗り降りしていた駅にも二軒あったし、隣の駅にもあったので、おもわずその通りだと納得してしまった。

8dsc03815_2 ペナンは鉄道が無いので、駅前の果物屋という風景はありえないし、果物は街中の屋台で簡単に手に入るので、わざわざ店を探すこともない。

 そのペナンの路地で、たまたま見かけたのが、写真の果物屋長屋。右側は、まだ緑色のものから黄色く熟したのものまで、あらゆる状態のバナナが天井から床まで埋め尽くしている。左側も、天井からたくさんのバナナが吊るされ、店前左隅には緑色のパイナップルが山と積まれていた。

 なるほど地元の人は、こういう所に果物を買いにくるのかと思ったら、どうもこれは卸売り屋らしい。この路地の先では、お爺さんが、バナナや果実を自転車屋台に積み込んでいた

 ところで、私が乗り降りしていた駅の前にあった果物屋は、小学校の同級生の家だった。彼の家が果物屋だというのを知ったのは、図工の時間に果物を描くとき、それまで見たこともない大きなリンゴとキレイなバナナを持ってきたときだ。リンゴは、赤いインドリンゴと黄色のゴールデンデリシャスだったような、お見舞いでもらう果物カゴの中にも、あんな見事なリンゴはなかったので同級生一同皆驚いたのだ。果物カゴは最近見かけないが、バナナ、パイナップル、リンゴなどが、竹で編んだカゴに盛られ、その底にフルーツの缶詰が詰まっていた。その頃のわが町は田舎だったが、駅前の果物屋は、八百屋さんと違って非常に高級な商品を扱っていたように思う。

 その同級生の果物屋は、やがてビルになり、いまはその場所に銀行が入っている。そして、もう一軒の果物屋も、一昨年ついに店を閉じてしまい、いま駅前には果物屋がなくなった。スーパーマーケットで様々な果物が入手できるようになった今では、駅前の果物屋は懐かしの昭和風景になってしまったかもしれない。

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コメント

これまた素敵過ぎる写真ですね〜。じんた堂さんの目はさすが…ですね。とこで、竹で編んだカゴに入った果物セット…ありましたね〜。それにちょっと洋風なラベルがかかっていたりして…。すっかり忘れていました。あれは懐かしいです。また、確かに、都内では、廃業し、「果物」と書いた風化した看板だけが残る図をよく目にするような気がします。おっしゃるように、あれはもう昭和風景なのでしょうね。

投稿: masa | 2008/05/26 21:23

masaさん、こんばんは、
この果物屋さん、遠くからみると建物がだいぶ傷んでいて、商売は細々とやっているように見えたのですが、いざ店前に立ったらバナナの豊富さに圧倒されました!

カゴ入りの果物セットですが、本当に見かけませんね。どこかの商店街に残っていたら、昭和文化遺産として記録しておきましょう。

投稿: じんた堂 | 2008/05/26 22:50

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