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2008/06/19

銀鼠の建物@人形町

 人形町、新大橋通沿いは、タワービルが目立つ白いオフィス街になってきた。

8dsc07417 人形町通り沿いも、有名店はほとんどがビルに建て替わったが、それでも一歩裏通りに入れば、暗い緑のサビにおおわれた看板建築の商店や、風雨に洗われた板壁の木目が深い影を作る家が残っていた。まるで昭和のまま時が止まったような風景がひろがり、ここが都心であることを一瞬忘れさせる。

 その人形町通りの角に和菓子の壽堂ある。

 日本橋小網町生まれの植草甚一の文章に、”「ことぶき堂」という目立たないお菓子屋があった。大正のはじめに店を出したが、小網町にあるぼくの家へ主人がやってきて、どうぞよろしくと開店の挨拶をしたあとで、どんなお菓子ができるかを商売用の箱にならべて入れたのを見せ、いくつか見本に置いていった”とある。

 壽堂は、通りまでニッキの香りがただよう黄金芋が有名だが、季節の和菓子もほどよい味と大きさで好ましく、さらに季節ごとに変わるウインドウのディスプレイは、その前を通るものを楽しませてくれる。

 いま、その壽堂を取り囲むように、マンションが建築中。

 背後をすっかり高い建物に羽交い絞めされたようで、思わずつらい言葉が口からもれそうな状況だが、壽堂のグレーの壁に赤い窓枠を組み合わせた建物は、なかなかいい感じだ。グレーも灰色でなく、あえて鼠色と言いたい。銀鼠、利休鼠、深川鼠や錆鼠などをまとう、小柄ながらもその道一筋に打ち込む粋な大人というのは、こういうものかもと・・・。

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