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2008/07/31

京成白鬚線@東京の消えた鉄道

 先日、京島のラブガーデンからの帰り、京成曳舟から電車に乗ったら八広駅で通過電車待ちとなった。

78dsc00067_2 八広駅というのは、元の京成荒川駅。ここは東京物語の謎(2)で書いたが、小津安二郎の映画「東京物語」で東山千恵子扮するお祖母さんが孫と土手で遊び「あんたがのう、お医者さんになるころあ、お祖母ちゃんおるかのう・・・」という心にしみるシーンが撮影された地だ。いまは駅は高架となり、東京物語にあった風景は消え、荒川の流れだけが昔と変わらないようだ。

 消えた風景といえば、昭和の初めこの八広駅(旧荒川駅)と曳舟駅の間には、もう一つ駅があった。

Keisei_mukojima_5ここで昭和8年版の東京全図を開いてみよう。
 
 京成曳舟駅と荒川駅の中間に向島駅があり、そこから白鬚橋に向かって線路が伸びている。
 
 向島、長浦、玉之井、白鬚の四駅を結ぶ路線は、京成白鬚線と呼ばれ全長8Km。その営業は昭和3年から8年間という短いものだったが、良く知られている小説のなかに描かれている。

 永井荷風の墨東奇譚は、向島にあった玉の井を舞台としているが、主人公がお雪と出会う場面の直前、元の京成玉之井駅(停車場)が登場する。

 「線路に沿うて売貸地の札を立てた広い草原が鉄橋のかかった土手に達している。去年頃まで京成電車の往復していた線路の跡で、崩れかかった石段の上には取払われた玉の井停車場の跡が雑草に蔽われて、此方から見ると城跡のような趣をなしている」とある。
 
 墨東奇譚の中には東武線の玉之井駅(現在の東向島駅)も登場するが、あらためて地図をみると、京成と東武の玉之井駅は、非常に近く、さらに交差していることが分かる。なるほど墨東奇譚に鉄橋とあるのは、この二線が交差するためだったのだろう。

 廃線というと、どこか田舎にあるローカル線を想像してしまうが、東京の下町である向島の真ん中にもあったとは驚きである。もっとも鉄ちゃん呼ばれる鉄道ファンのなかには廃線巡りを趣味としている人がいて、この京成白鬚線もよく知られているそうだが・・・門外漢はただ感心するばかりだ。

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2008/07/28

ミニ古本市@ラブガーデン

 東京、京島にガーデニング+雑貨を扱うお店、ラブガーデンがあります。隅田川に近い下町の通りにありながら、カリフォルニアの風が吹いているようなお店は、外から見たかぎりでは鉢植えが並ぶガーデニング専門店のようですが、一歩中に入ると素敵な手作り小物や衣服、雑貨が壁や棚に置かれています。

 このたび、その一角に「じんた堂」の本を置かせてもらいました。

 今回は趣味の古本、それも洋書を中心に展示販売します。名前だけは知っていても、なかなか実物を見る機会が少ない本を選んでいますので、ラブガーデン立ち寄りの際にご覧下さい。

4dsc07554 1.The great book of sports cars, 1988, Dean Batchelor, Chris Poole, Graham Robson

1988年発行、世界のスポーツカー事典。1950年以降に生産された世界のスポーツカー200台を全車カラー写真で紹介しています。

 アメリカで製作されたこの本は、写真は全てカラー、重量3kgを超える大きなものです。生産台数のデータもついており、スポーツカーの世界を知るには最適な一冊です。なお現品にはカバーが付いていません、また綴じ状態が良くありません(あまりに重過ぎて綴じがゆるくなってしまいます)。

4dsc07561 2. Autombile Revue 1969

 1947年スイスで発行され、いまも発行され続けている世界の自動車を網羅した年鑑Automobile Revue、その1969年版です。記述はドイツ語とフランス語の二ヶ国語で書かれていますが、主なスペックについては英語翻訳表がついており、全ての車を写真で紹介しています。

 車はメーカー名をアルファベット順で並べ、ABARTH(イタリア)のページからはじまりZIL(旧ソ連)まで、もちろん日本の車も入っています。1960年代末の乗用車・スポーツカーを知るには最適な本です。

 なお、この本は図書室用に製本されており一部広告ページが入っていません。今回は展示してませんが、オリジナル状態のものも何冊かあります。

4dsc07566 3. Die Auto Modelle 1966/1967

 ドイツで発行された世界の自動車を紹介する年鑑です。記述はドイツ語のみですが、写真が豊富なので楽しめます、またスペックは表になっているので数値の比較が簡単にできます。

 ドイツだけあってワーゲンのページからはじまりヨーロッパ、アメリカ、トラック、バスまでも網羅しています。

 なお現品には、スペック表に書き込みが多数ありますが、これは日本の某自動車メーカーの資料室で使われいたためのようです。この本も図書室用に製本されていますので広告ページが入っていません。

4dsc07546 4-5. Classic Natural History Prints PLANTS/BIRDS 1990

 18-19世紀に描かれた植物画・鳥類画(細密画)を集めてそれぞれ一冊にまとめた画集です。絵画は1990年に印刷されたリプリントですが、18-19世紀にどのような植物があり、どのような鳥がいたのか図鑑のように見ることも出来ます。

 植物画・ボタニカルアートや鳥は、彩色が美しく開いて飾っておくのも良いでしょう。なお記述は英語です。

4dsc07556 6. BEERS OF THE WORLD, Gilbert Delos

 タイトル通り世界のビールを紹介しています。記述は英語ですが、ビールビンやラベルの写真が豊富なので見るだけでも楽しめます。
 





 このほかに下記の日本語の本を展示しています、

4dsc00064

 7. Taste of Jazz マーサ三宅(サイン本) 音楽CD付き 1988

 Jazz歌手マーサ三宅さんが、ジャズの歴史をやさしく書いています、付録の音楽CDに本文で紹介する曲が入っていますので、読むだけでなく耳からもジャズの歴史を知ることができます。

 8. カリフォルニアワイン 田辺由美 1988

 田辺由美さんが書いたカリフォルニアワインの本です。
 
 なお全て古本ですので一品限りとなり、代替品はございません。御購入の際は、この点をご承知おきください。

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2008/07/24

手描きGoogleEarth!

 もう先々週の号だが、サライ7/17号で「古地図で辿る鉄道旅」を特集していた。

8dsc07712 その巻頭で鉄道地図旅行の楽しみを語るのは、之潮から発刊された「帝都地形図」の編者である井口悦男さん(日本古地図学会会長)。井口さんは、”私が旅に持っていくのは現在の「時刻表」と国土地理院発行の「地形図」”、さらに”手元に昔の鉄道路線図や地形図があれば、それらも旅に持っていくことをお勧めします”と語っている。

 古い地図や旅行案内があると、実際の鉄道旅行だけでなく、随筆や旅行記を読むときその楽しみを一層増してくれる。その町へ向かう途中の景色や名所、さらにそれぞれの位置関係がはっきりすると、何気ない描写だと思っていたものに深い意味があったことに気付いたりする。そんな難しいことを考えなくても、旅行案内にある絵図は見るだけでも楽しいが・・・。

 ためしにサライに載っている、昭和30年代まであった草津へ向かう意外なルートについて古い旅行案内をみてみよう。

 「旅程と費用」は、日本交通公社(JTB)が旅行業務用に発行していた本だが、その昭和27年版に、草津と吾妻渓谷をまわる二泊三日の旅行プランが掲載されている。第一日目、上野駅を朝9時時20分に出発、軽井沢に14時23分に到着、草軽電車に乗換て草津温泉駅に18時32分に到着する。なるほど軽井沢で乗り換えて草軽電車て草津へ向かうルートは、交通公社の旅行プランに掲載されるほどよく利用されていたコースらしい。

 さらにサライ記事に「草津鉄道は大正15年全通」とあるが、大正15年版の「鉄道旅行案内」の信越線沿線の鳥瞰図をみれば、軽井沢から嬬恋までの路線が点線で描かれている。本文を読むと、”軽井沢駅「草津鉄道の分岐駅」、「草津温泉、草津鉄道にて行く、嬬恋駅まで賃金三等1円39銭、嬬恋から草津まで三里、自動車ニ円」”とある。どうやら全線開通前の草津鉄道は、軽井沢~嬬恋までであったようだ。

 この「鉄道旅行案内」は、鉄道省による旅行案内。北海道から九州まで日本全国の鉄道を網羅するとともに、主な観光地や名物を紹介している。絵図は、吉田初三郎により描かれており、主な沿線を鳥瞰図で見ることができる。大正15年発行なのに草津鉄道の全線開通が反映されていないのは、大正13年に作成を開始したためのようだ。

 上の写真で開いているページは、軽井沢をふくむ信越線沿線の図。中央の高い山が浅間山、その真下に信濃追分、沓掛、軽井沢の駅が並び、その奥に赤い四角で囲まれた草津の文字が、さらに右側は碓氷峠から横川。左側のページは上田、長野、直江津、富山、新潟さらに海に浮かぶのは佐渡ヶ島が描かれている。

 ところで、この信越線の鳥瞰図を最初に見たとき、いくらなんでも海の彼方にある佐渡ヶ島まで描いたのはやり過ぎだろうとの印象をもってしまった。

 ところが、試しにGoogle Earthで軽井沢付近を表示し傾斜角を調整すると、なんと浅間山の後方に日本海が広がり佐渡ヶ島が見えてくるのだ。吉田初三郎の鳥瞰図は、地形を相当大きく変形させて実際には見えるはずのないものまで描いていると思っていたが、意外にもその絵は現代のGoogle Earthと大差なく、まるで手描きGoogle Earth 3D図。このような鳥瞰図が80年も前に描かれていたことに驚く!

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2008/07/20

夏の初物:葛きり

 このところ続いている暑い日にようやく体が追いついてきたので、週末は小川町経由で荒川方面へ。

8dsc05692_2 その前にどこかで昼食ということで久しぶりに蕎麦屋。

 品書きの冷たい蕎麦より「せいろ」一枚、さらに「葛きり」を追加する。

 ここで葛きりを最初に食べたのは2005年8月、その後は夏になるとこの葛きりが楽しみになった。最初の頃は、いくら蕎麦屋といえ、男が葛きりを食べるのはちょっと恥ずかしい気もしたが、いまはごく普通に頼めるように、歳をとるのもなかなかいいものだ。

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2008/07/17

お盆休み?

 東京の7月15日はお盆。こう書くと、すぐに我が家は違うという声が聞こえてきそうだが、じつは我が家も、お盆は月遅れといわれる8月15日におこなっている。

8dsc07827 お盆は、もともと旧暦の7月15日に行われたものが、新暦になったときから新暦7月15日と8月15日の二通りになり、東京は7月15日といわれている。しかし、実際にお盆の行事をするしないにかかわらず、全国的には子供の夏休みを含む8月15日を、お盆休みとしているところが多く、海外旅行もこの頃が一番にぎわう。

 さて今週、都内を歩けば夏休みの張り紙をしたお店がちらほら、15日の深川永代通りはごらんのようなありさま。人もクルマも少なく、がら~んとした感じがとてものどかだった。

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2008/07/12

夏座敷

 夏座敷という言葉がある。夏の暑さを過ごすために、着物を衣更えするように座敷を模様替えする。

8dsc07716 襖を風通しのよい竹などで作られた簾戸にかえ、座布団も麻生地の涼しいものに、さらに軒先に簾、その奥に苔飾りのついた風鈴を下げ、縁側の近くに朝顔の鉢植えを置き、朝夕打ち水をする。

 いまでは夏座敷は、懐かしの日本の言葉になってしまったが、この頃このような言葉というかスタイルが気になり、ちょっと試してみたくなっている。とは言っても、今の部屋には簾戸にしようにも襖はないし、座布団も使っていないし、風鈴も音がうるさいと言われかねない。唯一できるのは、ベランダ前に置いた鉢植えへの水やりだろうか。

 ところで、打ち水といえば、ここ数年各地で行われる「打ち水大作戦」がニュースとなる。各地の参加者が日時を決めて一斉に打ち水をすると、その地域の気温がわずかながら下がることが報告されており、今年も7月22日(大暑の日)に予定されている。また東南アジアの屋外レストランに細かい霧がでる扇風機が置かれているが、それと似てより進化したドライミスト散布装置を設置する動きもある。

 エアコンは、室内機が部屋を冷やすと同時に室外機から温かい風が放出され周囲の温度を上げてしまう。すなわち室内が冷えれば、ますます室外は暑くなる。また林立するビルは、風の通り道をなくし熱の放散を少なくしてしまい、その結果都心ではヒートアイランド現象がみられるようになる。このようなスタイルはそろそろ限界がきているかもしれない。

 これからは、夏座敷のように、部屋をオープンにして打ち水やドライミストなどで暑さをしのぐというか、暑くても快適に過ごすスタイルを見直すときかもしれない。

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2008/07/09

積み木本と格闘する

 積み木の山(といっても小さな本の山だが・・・)と格闘している

Photo 本棚に並んでいる本は、一目で何の本か分かるが、積み木の山のように床に積んだまま置きっぱなしの本になると、一番上しか分からない。山の下のほうにある本をみる場合は、少しづつずらしながら背表紙を見ながら抜き出すのだが、ちょっとバランスを乱すと一気になだれ状態になり、まるで緊張感のあるゲーム。

 しかし、ときどき思いがけない本を見つけることがある。

 先日、山を崩しながら本を整理していたら、「世界の機関車」が出てきた。「世界の機関車:写真で見る世界シリーズ」(本島三良、秋田書店、1969)は、秋田書店から刊行されていた子供用の本。この本は小学生・中学生向けなのに、その内容は大人になった今でも十分読み応えがある。

 たとえば蒸気機関車がなぜなくなるかについて、エネルギー効率を例に説明している。蒸気機関車は発生したエネルギーの百分の六しか使わず、電気機関車は百分の三十、ディーゼル機関車では百分の十八となり、蒸気機関車はエネルギーのむだが非常に大きいことを説明している。さらに運行費用についても語られ、小学生の子供には難しいかなと思うがしっかり書いている。 

 しかし、何といってもこの本の楽しみは、日本やアメリカだけでなく、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オーストラリアの機関車(蒸気、電気、ディーゼル)の豊富な写真にある。有名なアメリカのユニオンパシフィック鉄道のビッグボーイはもちろん、レイモンドロウイの設計した流線型の機関車、さらにブルガリアの動輪6軸の機関車などなどは、大人になったいま見ても飽きない。

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2008/07/06

海月@深川

 深川で用事があり大横川べりを歩く。

8dsc07508_2 大横川の流れは、満潮の前後で逆転する。満潮に向かう上げ潮のときは、隅田川から大横川へ向かう方向に流れ、ひとたび満潮時になるとは流れは完全に止まり、川というより大きな堀のようになる。やがて満潮をすぎ干潮となると、大横川から隅田川方向へ流れはじめる。どちらの流れも非常にゆっくりで、水に浮かぶゴミや木の葉の動きではじめて気付くことが多い。

 川辺に着いたときは、すでに満潮をすぎていた。木々の影が映る水面を、白く透明な丸いものがゆらゆらただよっている、海月(クラゲ)だろう。潮にのって上ってきたものが、再び海に戻るのか、波もなく静かな水面を流れていく。

 クラゲは、水母または海月と漢字で書く。語源は分からないが、こうして水辺から見ると、まるで水に映るゆらめく月のようで、海月とはじつにいい文字を当てたと納得してしまう。

 ところで当て字にはすぐに思いつかないものが多いが、なかには簡単ゆえ、かえって分かり難い使い方もある。たとえば、夏目漱石の「我輩は猫である」の出だしの部分に”この間おさんの三間を偸(ぬす)んでこの返報をしてやってから、やっと胸の痞(つかえ)が下りた。”とある。この三間は、「秋刀魚」すなわち「さんま」と脚注にある。なんだと言われるかもしれないが、その昔、秋刀魚を「さんま」と読むことをようやく憶えたのに、「三間」を「さんけん」でなく「さんま」と読ませるのは、簡単なだけに肩すかしをくらったようでかえって出てこない。

 こういう言葉の遊びのような文字の使い方は、ちょっと楽しくマネしたくなるが、考えてみれば現代のKY語はさらにその上をいっているかもしれない。

 写真は、大横川にかかる巴橋付近から水面を撮ったもの。下方にある暗い影は川沿いに植えてあるサクラの枝の影、海月(クラゲ)の大きさは10~15cm程度。

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2008/07/02

カタツムリはどこへ

 いつもの道で紫陽花(アジサイ)が咲き始めた。

8dsc07640 日陰にあるためか他所より遅かったが、いつも通る道でアジサイがようやく開花。誰もが口にするように、アジサイの花は、黄緑からクリームそしてブルーから赤まで、その色は、時期によっても変わるし場所によっても異なる。

 ところで梅雨時のアジサイにはカタツムリというのが定番のはずだったが、このごろそのカタツムリを見かけない。これは全国的におきている現象らしく、しばらく前に新聞でも報道されていたが、原因は不明だそうだ。カタツムリは湿気を好むので、都市の乾燥化が関係しているとの指摘もあるがまだ解明はされていないそうで、今年からデータを集めるとの話しもある。

 川で有毒物質の汚染があったり、海で赤潮が大量に発生したとき、魚が浮かぶことがある。この場合、魚は水質汚染のセンサーとなっている。はたしてカタツムリは、何のセンサーだろうか・・・そして、あのタツムリはどこへいったのだろうか。

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