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2009/11/03

讃春(鏑木清方)を見る

 国立博物館で開催されている「皇室の名宝展」の第一期が、11月3日までということなので上野に向かった。

7dsc08958 先日のNHKTVでも紹介していたのでご存知の方も多いだろうが、天皇陛下御即位20年を記念して行なわれるこの展覧会は、御物、宮内庁所蔵の名品を展示している。なかでも、「伊藤若冲の動植綵絵三十幅」は、第一期展示の話題の中心と言ってよいだろう。

 展示室でみる伊藤若冲の動植綵絵は、まずその大きさに驚くとともに、その精緻さに圧倒される。いまにも動き出しそうな鳥の姿と羽毛の輝くような質感が、見事に描かれている。どこか西洋の細密画に通じる絵に、外国人見学者も足を止めていた。

 ところで、今回の展示には明治から昭和の名品も含まれている。

 そういう新しい作品も含めて今回の展示で一番気に入ったのが、鏑木清方の昭和8年の作品「讃春」。

 大きな屏風に仕立てられており、右に広場に遊ぶ二人の女子学生、左に隅田川に浮かぶ舟に暮らす母子が描かれている。女子学生は山の手に住む裕福な家の子供だろう。その一方、隅田川での母子の暮らしは明らかに質素だが、その船上に草花の鉢植えを置き花をつけた枝を飾り、どこか心の豊かさがあるように見える。これは東京の下町を愛した鏑木清方ならではの絵のように思う。

 さらに背景に目をやれば、広場奥に自動車、隅田川には清洲橋、まさしく昭和初めの工業製品と近代技術の象徴を置いている。花鳥風月・山紫水明と全くことなる、新しい日本画を目指したような印象がする。と同時に、古い東京の風景が消えはじめたことを暗に示したのかもと・・・これは考えすぎかもしれないが。

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