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2010/10/12

「ふるほん日和」で鳩の街を読む

 春の「ふるほん日和」で訪れて以来、鳩の街を舞台とする作品が気になっている。

5dsc00882 図書館で”鳩の街”をキーワードとして検索すると、永井荷風、田村泰次郎、吉行淳之助の作品が見つかるが、ここでは吉行淳之助の作品を取り上げてみよう。 

 「原色の街」(吉行淳之助)は、昭和31年に発表された長編小説。その舞台となる地は、”隅田川に架けられた長い橋を、市街電車がゆっくりした速度で東へ渡って行く。その電車の終点にちかい広いアスファルト道の両側の町・・・小路が口をひらいている”とある。東京の地理に詳しい人ならば、これだけでおおよそどの辺りか分かるが、具体的な町名は明らかにしていない。

 その後、吉行淳之助は、昭和43(1968年)年に鳩の街を訪れて「私の小説舞台再訪」という短い文章を残している。かつて通った町の変貌と人々の生活の様子を述べるとともに、「原色の街」の原型となった作品を昭和25年に書き、作品の中に登場する言葉を、鳩の町に住む人物から直接聞いたこと、この地が「原色の街」の舞台であることを明らかにしている。また芥川賞を受賞した「驟雨」の舞台は、新宿二丁目であることも明らかにしている。

 「原色の街・驟雨」は新潮文庫、「私の小説舞台再訪」は「私の東京物語、吉行淳之助」(文春文庫)に収録されている。

 最近の鳩の街となると、東京本エッセイである「あの人と歩く東京」(小沢信男、筑摩書房、1993年)に、わずかであるが鳩の街が登場している。小沢信男は、友人である詩人の辻征夫(つじゆきお)と一緒に向島付近を歩き、鳩の街商店街を通り抜けて墨田川高校へ向っている。墨田高校は辻征夫の母校であり、同校出身の作家には半藤一利、宮部みゆきがいる。またアルフィーの坂崎幸之助も同校出身。

 さて現在の鳩の街は、ゆるゆるとのびる商店街に左右から路地がつながり、その奥に住宅やアパートがびっしり建てこんでいる。商店街といっても狭い道路で大きなクルマが入りにくく、大規模開発はできそうもない。しかしそれがさいわいしたのか、所々に古い建物がそのまま残されており、それをカフェやギャラリーとする若い店主もいて、懐かしさと新しさがミックスされた不思議が雰囲気がただよっている。

 この鳩の街商店街の公園・お店を借りて第2回「ふるほん日和」が、10月30日(土)に予定されている。また同じ日に向島百花園では第2回「すみだ向島百花園古本市」が予定されている。

 鳩の街の最寄り駅は曳舟駅または押上駅、水戸街道沿い東向島1丁目交差点近くにあるスーパーたじま、その横の路地が鳩の街商店街の入り口(写真)。

「ふるほん日和」の案内はこちらへ
「すみだ向島百花園古本市」の案内はこちらへ


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