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2010/12/01

昔の名前で

 昭和30年に創刊され今もつづく銀座百点は、ハガキを一回り大きくしたぐらいの判による月刊の小冊子で、毎号有名人によるエッセイを掲載している。

7dsc08293 銀座百点のホームページによれば、”その連載から向田邦子「父の詫び状」、池波正太郎「銀座日記」、和田誠「銀座ドキドキの日々」などベストセラーが生まれている”とあるように、内容に定評があり銀座百点を楽しみにしている読者は多い。

 銀座百点に掲載された文章は、単行本や文庫としても出版されている。たとえば「銀座24の物語」(文芸春秋)は、1999年4月~2001年3月までに掲載された文章をまとめたもので、椎名誠からはじまり久世光彦・江国香織と人気作家のエッセイが収録されている。

 先日、「銀座百点選集」という箱入の本をみかけた。発行は昭和60年、創刊年の1955年から1984年まで銀座百店に掲載された文章からいくつかを集めて一冊にまとめている。どこにも値段が印刷されていないし、目次前のあいさつ文に”発刊満30年を記念して”とあるので、関係者に配ったものかもしれない。

 目次に並ぶ文章のタイトルと作家名を順にたどっていたら、あるところで目がとまった。

 「鬚を剃った魚の話」伊丹一三

 鬚を剃った魚の話は、エッセイ集「女たちよ!」(文春文庫、伊丹十三)にも掲載されている日本製品のオモシロ英語ネーミングの話。内容はそれを読むとして、私が注目したのは伊丹一三(いたみいちぞう)という名前である。

 伊丹十三は、俳優デビュー当時、伊丹一三を名乗っていたが、その後十三と改名した。それ以降は、伊丹一三時代にかかれた初期作品は伊丹十三の名で収録されるようになり、著者名に伊丹一三の名をみることはなかった。銀座百点選集が発行された昭和60年(1985年)は、すでに映画「お葬式」が話題になっていたときだから、当然伊丹十三時代である。それなのに伊丹一三としているのが、ちょっと不思議だった。

 奥付のひとつ前のページをみたら、あっさりその答えが書かれていた。”文章、姓名および肩書きは、原則として「銀座百点」に掲載された原文のままとなっています”とある。そして「鬚を剃った魚の話」の文末には、俳優・1965年5月号とあるから、著者名は伊丹一三となるのだ。

 なお伊丹一三から伊丹十三への改名は、「伊丹十三の本」(新潮社、2005年4月20日)に収録されている年譜によれば、”1967年10月21日出演作(映画)「懲役18年仮出獄」封切。この映画から芸名を伊丹十三に改める”とある。

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コメント

12月号には池部良氏の遺稿が掲載されています。
今度差し上げますね。
「銀座百点」での連載は他誌でのエッセイも加えて、幻戯書房から出版されるそうです。

投稿: 脳天松家 | 2010/12/02 09:03

脳天松屋さん、いつもありがとうございます。
銀座百店は、地域限定の小冊子ですが、さすが元祖銀座だけあって執筆陣は、全国規模の月刊誌をかるく超える豪華さですね。

投稿: じんた堂 | 2010/12/02 19:29

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