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2011/07/31

面白東京本5「東京風土図」

 「東京風土図」(産経新聞社会部、現代教養文庫、昭和36年)は、昭和34年から36年にかけて産経新聞に連載され東京の町の記録をまとめたもの。

 連載時期は、前回紹介した朝日新聞「東京だより」とほぼ同じだが、朝日新聞がレポーターに有名作家を起用したのにたいして、産経は地元公立小学校の先生を起用しており、巻末に調査に協力した先生の名前を列記している。

 巻末に”この本が、東京を散策する方々のよき道案内となり、また学生・生徒のみなさんの社会科副読本としてお役に立てば幸いである。”と記されているように、その内容はじつにまじめ。町の歴史からはじまり、主な見所を現状(といっても昭和30年代)をイラスト図をまじえて紹介している。地元学校の先生起用が、いかされている。

 しかしそれだけで終わらないのがこの本。

 たとえば神田末広町の黒焼き屋に関連して、”その昔、黒焼き屋が軒を並べていた所で、薬店街であった・・・その裏町には、白ネズミののれんがかかった店もあった。ネズミは多産の象徴だが、実はご法度の不義の結末を引き受けるところであったらしい”と、珍しい話ものっている。イモリの黒焼きが滋養・強壮に効くほかに惚れ薬として落語などで語られることをあわせると、これはなかなか面白い取り合わせだ。

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2011/07/24

弾丸日帰り古本旅行第4弾(秋田編)

 18日、ブックイベント「秋田 Book Boat」一箱古本市が開催された秋田への弾丸日帰り古本旅行。

5dsc03754 いつもの弾丸日帰り古本旅行は、駅に向いそのとき来た列車に飛び乗っているが、今回はそうはいかない。18日は連休最終日と東日本パスの最終日が重なり、東北方面の列車はどれも満席状態。しかも「秋田こまち」は、全席指定。

 17日の午後、買い物ついでに「みどりの窓口」に立ち寄ったら、東京から秋田へのこまちは、朝ならまだ空席があるので帰りの列車だけなんとかすればよいことに。そこで秋田新幹線、青森からの東北新幹線、新庄からの山形新幹線などを調べてもらったが全て満席。結局、在来線で秋田から新潟へ、そこから上越新幹線を利用するコースを選ぶことに。いわゆる一筆書きコース、切符は東日本パスを利用。

 18日の朝、東京駅を出発した秋田行きこまちは空席が目立ったが、大宮で完全に満席となりそのまま秋田へ。隣席の秋田在住40年のオジサンから、秋田の県民性からはじまり歴史・気候・食物・祭礼などみっちり聞く。”小さい町だけど高級外車が多いし、女性は年をとってもパーマをして身だしなみがよい、それもこれも秋田人の「えぇふりこぎ」という性格からくるものなんだ”と、まるで教養講座のような内容。元教師のオジサンのシャベリが上手くて、思わず引き込まれてしまう。秋田駅でオジサンと別れ、オジサンおすすめの駅近くのお店で稲庭うどん食べてから一箱古本市会場の仲小路へ。

 駅前からすぐですと聞いていたが、それらしき会場は見えず。交差点を渡りさらに進むと、一箱古本市のノボリらしきものがはためていたので、ようやくそれと分かる。青空、強い日差し、ところどころにテントとパラソルが日陰をつくる通の両側に、一箱古本市の箱がゆったりめの間隔で並んでいる。

 店主さんの中に、ナンダロウさんと東京の古本イベントで活躍されているドスコイさんを見かける。ナンダロウさんの店主姿はやはり貫禄がある、ドスコイさんは故郷へ凱旋出店とのこと。地元店主さんは、静かに本を読んだりして落ち着いた雰囲気。箱は作りがしっかりしているしデザインも美しい、家にあるものをそのまま持ってきました言いながらも新しくてキレイな本が多くて、とても初めて開催される一箱古本市のように見えない。会津もそうだったが、ここ秋田はレベルが高い!ここで二冊を購入。

 それにしても暑い!つい本よりも秋田名物ババヘラアイスへ目がいってしまう。会場で売っていたのは若い女性なのでアネヘラアイスと言うべきかもしれないが、これはさっぱりして美味!

5dsc03810 秋田からの帰りは特急いなで新潟へ、これが予想以上の混みかた。改札口で聞いたときは全6両のうち前より3両が自由席とのことだが、実際に入線してきた列車は自由席2両+指定席4両という編成。早めにホームで待っていたので座席を確保できたが、通路に立つ人がでるほど。さらに途中駅で次々お客が乗車するので、ますます混んで車内温度もぐっと上がってきて空気がどーんと重くなる。しかしそれも夕刻になり一瞬にして解消。日本海に夕陽が沈み始めるや、車内の立っている人も座っている人も一斉にケータイやデジカメを取り出し夕陽を撮影しはじめた。それをきっかけにあちこちで会話がはじまり、沈んでいた雰囲気が軽くなる、自然の力は大きい!

 新潟駅に到着、上越新幹線に乗り換え新幹線で東京へ、全行程1200キロ、秋田への弾丸日帰り古本旅行はこうして終わった。さて次は・・・。

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2011/07/17

東京のひがし本#2

 前回の東京のひがし本リストは、なるべく新刊で入手できる本を選んだつもりだったが、オンライン検索で調べたら「注文できません」が次々と表示された。

 例えば大東京繁昌記(平凡社ライブラリ)は、これは関東大震災後の復興途上の東京のすがたを有名作家が自ら歩き記録している。その下町編に取り上げられた地域と担当する作家は、本所両国:芥川龍之介、深川残景:泉鏡花、大川風景:北原白秋、大川端:吉井勇、雷門以北:久保田万太郎、日本橋付近:田山花袋、新古細句銀座通:岸田劉生という豪華なメンバー。描かれた時代が古いので東京のひがし本リストに載せるかためらったが、震災前後で東京がどのように変化したか知るによい本なのでリストに入れた。しかし、残念ながら現在は「注文できません」となっている。

 また新しいといっても1995年出版だが、イーストサイド・ワルツ(小林信彦、新潮文庫)は「絶版」になっている。こちらは深川やめったに取り上げられない曳舟が舞台として登場する小説なのでリストに入れたのだが、残念としか言いようがない。

 ところで「注文できません」という言葉は、その真意というか背景がどうもはっきりしない。たまたま在庫がゼロで次の入荷まで待ってほしいのか、もうこの本は絶版で今後の販売予定はないのか、どうなんだろうか。さらに別の検索サイトでは「重版未定」という表示もある。これは絶版の決定はしていないが、次の版を出すか決めていないのだろうか。本を購入する側から言えば、いま購入できないなら「いつ頃購入できるか」、まったく見通しがないのか知りたいところだが、どうもそれに答えてくれない。

 前回のリストに「注文できません」「絶版」のものに*をつけてみると下記のようになる。10冊のなかで5冊が新刊で入手できないのだ。

*1.大東京繁昌記・下町編:本所両国・深川(芥川・泉鏡花、平凡社ライブラリー)\1365
2.墨東綺譚:玉の井(永井荷風、岩波文庫)\483
3.原色の街・驟雨:鳩の街(吉行淳之助、新潮文庫)\460
4.流れる:柳橋(幸田文、新潮文庫)\460
*5.ふるさと隅田川:向島(幸田文、ちくま文庫)\672
*6.洲崎パラダイス:洲崎(芝木好子、集英社文庫)\410
*7.イーストサイド・ワルツ:京島(小林信彦、新潮文庫)\571
8.私のなかの東京:玉の井(野口富士男、岩波現代文庫)\945
9.歴史をあるく、文学をゆく:向島(半藤一利、文春文庫)\680
*10.江東歳時記:江東・葛飾(石田波郷、講談社文芸文庫)\1365

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2011/07/10

飛行機雲

 暑さに強いほうだったが、ここ数日は調子がでず飛行機なら低空飛行状態。

5dsc00997 なぜ突然、飛行機をひきあいに出したかといえば、先日、某所で飛行機関係の本を見たら、子供の頃、飛行機が好きだったことを思い出したのだ。

 ところで、同世代の知人の中に飛行機のプラモデルマニアが二人いる。二人は、仕事も家庭もまったく異なるが、どこか性格が似ている。二人とも、買い集めたプラモデルを組み立てずにそのまま保管している。さらに二人とも、”現役を引退した後の楽しみのためにとってある”と同じように語るのだ。

 いざその時になると目や手先は大丈夫かと少し心配もあるが、二人はいたって気楽で羨ましいほど、私もこのごろこれで行こうかと思っている。何のこと?、もちろん私の場合はプラモデルでなく、未読のまま部屋の隅に積まれている本のことだ。

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2011/07/06

清澄白河の新しい風2「eastend TOKYO BOOKS」

 清澄白河の深川資料館通りにもう一つの古本屋。

5dsc03697 清澄白河の「しまぶっく」前の通りを、さらに現代美術館の方角に進むと、左側にArt Laboカフェ「深川いっぷく」、それに向い合うように通りの右側に「eastend TOKYOBOOKS」がある。あの古ツアさんも既にレポートされているので訪れた方も多いと思うが、従来は週末だけの営業だったが、今月から平日営業もされるようになったのであらためて紹介しよう。(2011/12現在、金、土、日のみの営業です)

 店全体は白いトーンでまとめられ、きれいにディスプレイされたアート系ビジュアル本が目立つが、棚をよく見れば少しくすんだ純文学本やサブカルチャー雑誌もある。新刊の写真集や雑誌も何気なくおかれており、川島小鳥「未来ちゃん」が平積みされた台があればブルータスの最新号があったり、中原淳一のイラストが表紙となっている古いファッション雑誌があれば、本格的なJAZZLPレコードが入った箱もある。いわゆるセレクトショップのように店主が選んだ新旧のオシャレモノが並んでいる。

 お店に置いてあるショップカードやチラシも、シンプルながらオシャレ。じつは店主さんは、某サブカルチャー・某大手書店に勤務されていたことがあり、本に関して幅広い知識をお持ちである。

 近所には現代美術館に加えてギャラリーや写真関係の出版社があり、それらを巡ったあと立ち寄るのに最適な店である。さらにゆっくりするなら向かい側にあるArt Laboカフェ「深川いっぷく」へ、今春リニューアルし本格的スイーツメニューが充実、こちらもススメ。もちろん駅近くの「しまぶっく」も見逃せないと、いま清澄白河・資料館通りは素通りできない。

 「eastend TOKYOBOOKS」の住所は東京都江東区三好3-9-6、定休日は月~木。


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2011/07/03

東京のひがし本

 リコシェさんから、「東京のひがし本」としておススメの本の名をいくつか上げてほしいとの話がきた。ここ数年、東京に関する本をいくつか読んできたので、何とかなるかなと軽い気持ちで引き受けたが、いざ選ぶとなるとこれがなかなか難しい。

 まずは「東京のひがし」とはどこだろうか。東京の地図を広げて適当な場所で南北に直線を引き、その左右を東西として、ここからこっちが東ですと決められればよいが、そう簡単ではない。たとえば皇居(旧江戸城)を通るように南北の線を引いたとすると、中央区の日本橋や銀座も東京の東となるが、この地域に生活する人からは、“ここは東京の真ん中であって東ではない”との話が聞こえてきそうだ。数年前、人形町に住んでいたお年寄(当時90歳)の話を聞いたが、その方が東京として認める地域は、日本橋を中心にして西は赤坂・青山あたりまで、東は隅田川までというじつに狭い範囲。その外側にある新宿も川向こうにある錦糸町・亀戸も全て田舎あつかいだった。

 これはこのお年寄りだけの大げさな話かと思ったが、東京がまだ東京市で15区しかなかった昭和初期の地図を見ると、なるほどそうかとなる。当時の地図をみると、東京の区部は、西は四谷区までで、その先は内藤新宿町・淀橋町となる。東は本所区・深川区までで、その先に亀戸町・砂村、北の日暮里もまだ日暮里村だったのだ。東京は時代とともに膨張してきた、平成の時代にかつての区分が当てはまらないのは当然だが、古い東京を舞台にした作品を読むときは、時代によって異なる東京の姿を考慮しておきたい。

 このようなことを考えながら、東京のひがしとして隅田川(大川)の東側、いわゆる墨東・江東さらに葛飾などを語る本を選んでみた。文庫・新書などで出版され入手が容易であることを考慮したが、すでに絶版になっているものもある。街歩き系の本が多いが、これは選者の好みということでお許しを願いたい。

 合計25冊リストアップした候補の中から、最初の10冊は以下のとおりである。

1.大東京繁昌記・下町編:平凡社ライブラリー
2.墨東綺譚:玉の井(永井荷風、岩波文庫・新潮文庫・角川文庫)
3.原色の街:鳩の街(吉行淳之助、新潮文庫)
4.流れる:柳橋(幸田文、新潮社文庫)
5.ふるさと隅田川:向島(幸田文、ちくま文庫)
6.洲崎パラダイス:洲崎(芝木好子、集英社文庫)
7.イーストサイド・ワルツ:深川・京島(小林信彦、新潮文庫)
8.私のなかの東京:玉の井(野口富士男、岩波文庫)
9.歴史をあるく、文学をゆく:向島(半藤一利、文春文庫)
10.江東歳時記:江東・葛飾(石田波郷、講談社文庫)

 さて、あなたの「東京のひがし本」は、どのようなものだろうか・・・。

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