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2012/06/03

石田波郷「江東歳時記」

 スカイツリー開業日となった5月22日、NHKBSプレミアで俳人石田波郷が写真に記録した風景を再び訪れる番組が放映された。タイトルは「スカイツリー「三丁目の夕日」を探して~写真でたどる東京下町~」とやたら長いが、モデルの押切もえさんが、写真を収めたiPadを片手に、昭和30年代に撮影された地を訪れ、いまもその地に暮らす人々を訪れる番組。

 じつは先日開催した「小名木川を歩く」で、江東区砂町文化センターにある石田波郷記念館を見学した際、江東歳時記に興味をもたれた方がいたので、あらためて紹介しよう。

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 「江東歳時記」は、昭和32年から33年まで読売新聞江東版に連載、東京の東にある江東区・墨田区・葛飾区・足立区・江戸川区の風景を、俳句・文章と写真で記録している。昭和41年に箱入単行本(上の写真の右)、ソフトカバー版が東京美術選書6(上の写真の左)として東京美術から出版されている。

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 歳時記という名から、俳句集のように思われがちだが、見開き右ページに写真と俳句、左ページに文章という構成は、東京写真エッセイととらえたほうがよいような。

 上のページは西新井橋近くのお化け煙突と貸しヨットの風景。本文にある「都会の人はこんなところまで来ないからだめですよ、ヨットに乗るんだってここで練習して結局は逗子、鎌倉へ行っちまうんだから」と、ボート屋のお姉さんの話は、その当時の様子を語って興味深い。じつは昭和31年に「太陽の季節」「狂った果実」など湘南を舞台にした映画が公開されており、ヨットが登場していた。これら映画で生まれた流行が東京の東の水辺にもおよび、このような風景を生んだのではないだろうかと思いはめぐる。

 江東歳時記は、このように昭和30年代の東京の東の風景を記録し語る本である。

 なおNHKBSプレミア「スカイツリー「三丁目の夕日」を探して~写真でたどる東京下町~」は、6月2日から15分番組として再放送が予定されている。

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コメント

昭和32年3月まで足立区に住んでいましたが、西新井橋は未だ木造で、貸ボートはありましたが、ん〜ヨットは未だ無かったと思いますから、ほんの束の間の風景の様ですね。

投稿: iGa | 2012/06/03 21:48

iGaさん、コメントありがとうございます
私は江戸川でしたが、子供の頃、貸しボートに何度か乗ったことがあります、でも貸しヨットを見かけた記憶がありません。そのかわり、どこかの大学だと思いますが、エイトと呼ばれるレガッタ用のボートが何度も往復していたのをよく見かけました。その貸しボートもエイトも今は見かけず、失われた水辺の風景になってしまいました。

投稿: じんた堂 | 2012/06/04 19:50

一昨年の今日、85歳で亡くなった父が石田波郷と同じ時期に国立東京療養所に入っていました。父はその後ずっと清瀬に住み、私も生まれ育ちました。父は晩年、俳句を良く作っていました。波郷のことを知っていたかは今ではわかりませんが、父が石田波郷を教えてくれたような気がしています。
先日、購入した江東歳時記はソフトカバーの物でした。これから益々ハマリそうな予感がしています。

投稿: ROBOT | 2012/06/05 22:22

ROBOTさん、コメントありがとうございます
石田波郷集(現代俳句の世界7、朝日文庫)の随想で、波郷が入院した病棟に俳人がいたこと、所内で俳句会が開かれていたなど、所内で俳句が盛んであったことを波卿自身が書いています。多くの方が俳句に親しんでいたようです。
ところで東京美術社ハードカバー版とソフトカバー版の中身は同じです、それにハードカバー版は写真の入れ違いがありますのでソフトカバー版で十分です。また講談社文芸文庫版は写真が省かれています。

投稿: じんた堂 | 2012/06/06 20:48

「スカイツリー「三丁目の夕日」を探して~写真でたどる東京下町~」の中の千住大橋にて、押切もえさんがi-pad を見ながら「子供が遊んでる」と仰っていましたが、その子供は何と私です。
私は昭和21年生まれで、あの写真は多分昭和29年から31年頃ですから8歳から10歳位と思われます。
では、なぜ私かと云いますと当時千住緑町に住んでいましたので、大橋にはよく行き橋のリベットに足を掛けて登っていました。
ヘアースタイルは当時のいわゆるボッチャン刈りで、横顔は私、決定的なのは服装で、当時私はセーターまでもズボンの中に入れサスペンダーをするという特異なファッションをしていました。という訳で50数年前の自分を発見し、たまたま録画をしましたので見返しては感慨にふけっています。

投稿: 伊東秀雄 | 2014/07/22 20:41

伊東さん、コメントありがとうございます
石田波郷は俳人だけあって、写真を撮っても風景というか情景のとらえ方がとてもうまいですね。その写真の中に子供のころのご自身の姿を見つけられたとは、さぞかし驚かれたでしょう。どこか羨ましいような気がしますが、いい話をありがとうございました。

投稿: じんた堂 | 2014/07/23 22:11

じんた堂さん、こんばんは。写真に60年程前の自分を見つけた伊東です。先日古いアルバムを掘り起こしていましたらありました。あの千住大橋を登っているのと同じセーターの写真が。写真には5歳下の姪が2歳くらいで写っていますので、石田波郷氏の写真の1~2年前と思われます。今度「石田波郷記念館」を訪ねるときに持って行こうと思っています。

投稿: 伊東秀雄 | 2014/09/08 21:47

伊東さん、こんばんは。
ご存知かもしれませんが、石田波郷記念館があります砂町文化センターは平成26年9月30日までの予定で改修工事を行っており休館しています。完成予定が変更されるかもしれませんので、もし訪れるときは事前に確認されますように。

投稿: じんた堂 | 2014/09/13 20:58

じんた堂さん、こんにちは。
それは知りませんでした。有難う御座います。

投稿: 伊東秀雄 | 2014/09/14 15:43

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