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2012/11/25

寒い冬に向かって

 東京も紅(黄)葉が目につくようになってきた。柿の実も色づき、日差しのなか明るく輝いている。

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 ところで今年は暖冬という話だったが、最新の3か月予報では「今年の冬は平年並みか平年より寒くなる」そうだ。正確に言うと、”平年並みの確率が40%、平年より寒くなるが40%”だそうだが、これは”平年より暖かくなる確率は20%しかない”と言ったほうが判りやすい。

 それにしても専門家の使う言葉は難しい。たとえば”あるとはいえない”などは、”ない”といってくれと言いたくなるが、じつはそれはある確率をもとにしての判断なので、簡単に”ない”とか”ある”は使えないそうだ。”100%ない”とか”200%ない”とか聞くことがあるが、これは言葉の遊びでしかなく、あまり信頼できないのはご存じの通りだ。

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2012/11/19

カリンと「ゆずこしょう」

 長野を旅したとき、畑でカリンの木と実を見たことがある。その実は、黄色、細長いリンゴのような形をしていていた。しかし、それは東京でみたものとちょっと違っていた。

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 東京で見かけたカリンは、秋の日差しのなかで艶やかに輝いていたが、長野のものは表面が粉を吹いたようで艶がない。そのときは、栽培種なので違うのかと思っていたが、最近、長野で見たカリンの正体を知った。

 じつは長野でカリンと呼ばれていたものは、マルメロだそうだ。カリンは中国原産、マルメロは東アジア原産で植物分類上はカリンとは属が異なる。ともに形も色もそっくりだが、実の表面で見分けることができる。カリンの表面はつるっとしていてるが、マルメロは表面に毛があって艶がない。

 やっかいなのは、長野ではマルメロをカリンと古くから呼んできており、砂糖漬けなどの加工品にもカリンの名をそのまま使ってきたことだ。さすがに最近は、食品の原材料表示は正しくしなければとマルメロとするところもあるようだが、長年慣れ親しんだ人はついカリンと言ってしまうそうだ。

 そういえば、これもつい先日知ったのだが、「柚子胡椒」(ゆずこしょう)の原料は「柚子」と「胡椒」でなく「唐辛子」だそうだ。九州地方では「とうがらし」を「こしょう」と呼ぶ地域があるそうで、それがそのまま全国的に広まったそうだ。であれば「柚子胡椒」は「柚子唐辛子」(ゆずとうがらし)と呼ぶべきだが、「柚子唐辛子」はすでにあり、こちらは柚子風味の七味唐辛子のような製品だからややこしい。

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2012/11/14

ディラン・キース・ジャニス・川本のつながり

 マイ・バック・ページとマイ・バック・ページズは、日本語にすれば最後に「ズ」一文字付くか付かないかの差しかないが、その奥にあるものは大きく異なる。(気になる人は、日本語Wikipediaで検索してほしい)

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 今回、取り上げるのはマイ・バック・ページズ「My back pages」。これは、もともとボブ・ディラン作詞・作曲によるもので、ボブ・ディランのアルバム「Another Side of Bob Dylan」(1964年)のB面2曲目に収録されていた。

 私が、この曲を知ったのはずっと後のことだった。1970年代中頃だろうか、ワーナーパイオニアから古いジャズLPシリーズで再発売されたことがある。その中にで、キース・ジャレットのアルバム「Somewher before」(1968年)があり、そのA面1曲目が、My back pages。

 「Somewhere before」は、キース・ジャレット・ピアノトリオによる初のライブアルバムと言われていた。そこに収録されているのは、静かなバラードあり古いラグタイム風ありフリージャズのような演奏あり、よくいえばバラエティに富んでいるがどこかゴチャゴチャとした印象がある。しかしキースの若さ(当時23歳)と60年代後期の勢いを反映しているようで、これはこれで良いように思える。とくに1曲目の「My back pages」は、難解なメッセージフォークソング歌手として知られていたボブ・ディランの曲が、単純だが美しいメロディーを持つことを気付かせてくれた。

 ところで、西荻窪のモンガ堂で「CD・音楽本まつり」が18日まで開催されている。そこに「ボブディラン果てしなき旅」・「ジャニス・ジョプリン禁断のパール」・「名演JAZZ PIANO」が出品されている。じつは、これらの本はあるつながりがある。

 「Somewhere before」のライナーノーツによれば、”トリオでニューヨークのクラブに出演していたときは、たまにマイルスがやってきたり、ジミ・ヘンドリックスがきたり、ときにはジャニス・ジョプリンやミック・ジャガーが顔を出したしたんだ・・・ジャニスとは、ラグタイムのアルバムの曲を書こうという話をしていた・・・でも二人ともすぐに亡くなってしまったんだ」。そのジャニスの本「ジャニス・ジョプリン禁断のパール」には、60年代の自伝的小説「マイ・バック・ページ」の作者である川本三郎による新聞掲載した書評も添付されている。1988年発行の「名演JAZZ PIANO」は、ジャズ・ピアノ作品を紹介するとともにアルバムランキングを1位から190位まで掲載している。キース・ジャレットは、ケルン・コンサートが11位、「Somewhere before」は47位である。少し強引なところもあるが、モンガ堂に並ぶジャズ本は、それぞれつながっている。

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2012/11/11

夏が水羊羹なら冬はチョコレート

 この時季になると夕暮れの荒川鉄橋上からは、まだ少し明るさが残っている空と暗い茜色の地平線のあいだにうす墨色した富士山のシルエットを見ることができる。空気がきれいな日は、そのシルエットは影絵のように輪郭がくっきりし影の部分は少し赤みをおびている。

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 うす墨色で思い出すのは、向田邦子の「水羊羹」という文章。向田邦子は、水羊羹の話(エッセイ集眠る杯に収録されている)のなかで習字のとき使う墨を前ふりにして”墨色の美しさは、水羊羹のうす墨の色にあるのです。はかなくて、もののあわれがあります”と書いている。べったり真っ黒な色でなく、どこか透明感があるうす墨色を良しとしているのだ。

 向田邦子の「水羊羹」の話は、水羊羹を食べるときのお茶、取り皿、ライティング(明かりといわずにライティングというのがいかにもテレビドラマの脚本家らしい)、さらにムードミュージックへ広がる。

 そのムードミュージックで、”私は、ミリーヴァーノンの「スプリング・イズ・ヒア」が一番合うように思います。この人は1950年代も、たった一枚のレコードを残して、それ以来、生きているのか死んだのか全く消息の判らない美人歌手ですが、冷たいような甘いような、けだるいような、なまぬくいような歌は、水羊羹にピッタリに思えます”とある。こう書かれれば、向田ファンならずともミリーヴァーノンの歌声を聴きたくなる。

 先日、CDショップで新譜を探していたとき、たまたまミリーヴァーノンのイントロデューシング「Introducing」MZCB-1116を見つけた。その帯に”今は亡き人気脚本家・エッセイスト、向田邦子が愛したジャズ・アルバムとして、多くの人が探し求めていた話題作が待望の復刻!”とある。間違いなくあの向田邦子が水羊羹で紹介したアルバムだ!調べてみたら、2007年3月に発売されていて現在も入手可能なようだ。

 早速購入し家で聴いてみる。「スプリング・イズ・ヒア」は、クリス・コナーもアルバム「シングズ・ララバイ・オブ・バートランド」の中でも歌っているが、それよりもテンポがゆったりして素直に歌っている。その歌声は、少しかげりのあるハスキーボイス、といってもジュリーロンドンのように包み込むような柔らかさでなく、しっかりした芯がありちょっと素っ気ないところもある。結局、”冷たいような甘いような、けだるいような、なまぬくい”という向田邦子の言葉が、うまく特徴をとらえていることに納得する。一つ付け加えれば、このアルバムは、今の時季なら甘みを抑えたチョコレートにも合う。

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