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2014/09/28

手軽になったけれども

 果物店でブドウを大量に購入するオジサンを見かけた。品種にこだわりがあるらしく、翠峰(スイホウ)はどうかとか、やはりシャインマスカットにしようとか、大きな紙袋二つほどを購入していった。

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 いまのブドウの流行りは、”種無し・皮ごと食べられる”もの。ブドウの女王といわれるマスカット(マスカット・オブ・アレキサンドリア)は、ほどよい甘みと上品な味わいを持ちながらも種ありで皮がしっかりしているので、店頭での人気はいまひとつらしい。

 ”皮ごと食べられる”と言いながらも実際には”食べられなくもない”程度のブドウとちがって、最近見かけるようになったナガノパープルは、すんなり皮ごと食べられる。その食感はちょっと感動してしまうほどでパティシェも注目しているとか。ケーキにのせるブドウは、種ありだと一粒ずつようじで中の種を取りす手間が大変だからだそうだ。

 それにしても”種無し・皮ごと”があたりまえになりつつあるブドウだが、その美味しさはどうなんだろうか?先日、長野の知り合いから地元でとれた巨峰(種あり)を頂いた。その濃厚な甘みと旨味は、巨峰はこんなに美味しかったのかとなった。これはブドウにかぎらないが、我々は手軽さを求めるあまり大切なものを失いつつあるかもしれない。しかも、そのことに薄々気づいても、一度手に入れた手軽さはなかなか手放せないから厄介なのだ。

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2014/09/14

除籍本の楽しみ

 前回の東京の100横丁(矢吹申彦)につられて矢吹申彦風景図鑑(美術出版社、1979年)を入手。

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 この図鑑は画集+文集という構成、著書表紙に矢吹の絵を選んだ伊丹十三、矢吹が師と仰ぎ仕事でもつながる和田誠、土屋耕一、浅井慎平、小倉エージ、田中一光らが文章を寄せ、加えて本人のエッセイもぎっしり詰め込まれている。図鑑と名のっているが、大判雑誌のような作りがいかにも70年代サブカル本という雰囲気だ。

 ところで今回入手した矢吹申彦風景図鑑は某社資料室が処分した、いわゆる除籍本だ。このような本は、会社印がベタベタ押されているし、帯はもちろん余分と思われる広告ページなどが削除されていることがある。それもあって古本としての評価(価格)は低いようだ。

 しかし見方をかえれば、これほど楽しめる古本はない。会社印から購入社(者)が分かるし、除籍印に日付がはいっていれば、いつ処分されたかもはっきりする。すなわち、どこでどのぐらいの期間保管されていたか、さらに状態をみれば、どのぐらい利用されたかも推測できる。つまり除籍本は履歴書つきの古本なのだ。これを見逃すのはもったいない。

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2014/09/07

東京の100横丁(矢吹申彦)

 イラストレーター矢吹申彦の最新刊「東京の100横丁」(フリースタイル)を読みはじめる。

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 都内にある横丁と名のつく地に加えて、著者が日頃よく訪れる路地や初めての地など100か所を見開きページで紹介。著者行きつけの店(ギャラリーが多い)の紹介や思い出話があり、手描きイラスト地図もついている。巻頭にあるように、著者には1984年に発行された「東京面白倶楽部」という本があり、本書はその続編として読むこともできる。続編といっても、そこには30年があるが、それがまたいいのだ。

 ところで先日、日本橋で用事が長びき昼食を食べそこねたので、あそこなら大丈夫だろうと古い洋食屋に向かったら、いつもは路地の入口から見える立て看板が出ていなかった。もしかして臨時休業かと店前に立ったら、建物正面の店名文字板がすっかり取り外されていた、どうやら閉店したようだ。まあ変化の激しい東京ではよくあることだが、やはりちょっと寂しい。あったときはそれほど気にしてなかったが、いざ消えてしまうとあの街のあの店はどうだったろうかとなる。そのようなとき本書は大いに参考になりそうだ。

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