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2016/01/31

「あぶたま」

 「あぶたま」の名を、初めて知ったのは田辺聖子の小説だったような、それ以来これは関西の食べ物とずっと思っていた。ところが、先日、「味のふるさと 東京の味」(角川書店、昭和53年)のなかに「あぶたま」が収録されていることを知った。えー、あぶたまは東京の料理なの!となり、あらためて調べてみた。

 まずは東京の味に掲載されているあぶたま。”東京風にいえば、あぶらあげの玉子とじ。忙しい商家では、どんぶりめしにのせて食べたこともあった”とある。作り方は、油揚げを四つくらいに切り、だしを油揚げがかぶる程度に入れコトコトと5~6分煮て溶いた玉子を全体に流すとある。

 次にネットであぶたまを検索すると油揚げと玉子という組み合わせは共通しているが、その調理方法は様々。油揚げを細かく切ったものや、油揚げのなかに玉子をいれた、いわゆる巾着煮をあぶたまとするものもある。関西では、きつね丼、衣笠丼として出す店もあるとか。その起源を”江戸吉原”とする話もあって、古くからある料理らしいがどうもこれぞ「あぶたま」というのが定まらない。

 こうなればあれで調べようと開いたのが、「味覚辞典 日本料理 奥山益郎編」(東京堂書店、昭和47年)。この辞典のあぶたまの項に、”油揚げを縦に二つに切り、これを横に細く切る。いり玉子とともに鍋に入れ、醤油・味醂で味付けした料理”。さらに”町家の昼飯のおかず向き。吉原妓楼の書記さん(帳場の番頭)などの昼飯によく用いられた”とある。江戸吉原説はそうかとなるが、玉子とじでなく、いり玉子!という意外な調理に驚く。

 結局、東京の味に掲載されている油揚げの玉子とじに小松菜を加えたものを我が家の「あぶたま」として作ってみた。なるほど、これをご飯にのせれば手軽な丼になりそうだ。

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