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2019/04/29

深川区東大工町

 同潤会アパートといえば、いまは表参道ヒルズになった旧同潤会青山アパートを思い出す人が多いだろうが、じつは都内に16か所もあり東京の東にあたる深川にもあった。

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 清洲橋通りと三つ目通りの交差点に面して同潤会清砂通りアパートがあった。ここは600戸を超える大所帯で建物も10数棟から構成されていた。(上に載せた写真はその1号館、古いネガフィルムをデジカメでコピーし処理をしたもの。撮影は1990年頃)

 ところで、いま江東区清澄白河と呼ばれるこの地は、かつて深川区東大工町と呼ばれていた。美術エッセイストであった洲之内徹は、エッセイ「気まぐれ美術館」の「深川東大工町」の項で、アパートの暮らし、自身が経験した戦前の思想弾圧の話を残している。

 洲之内徹は、昭和6年から7年にかけて同潤会清砂通りアパートに住み、ここから美術学校建築科に通っていた。部屋は独身者用棟の4階角部屋、鶯谷駅近くから洲崎行のバスに乗り通学しており、そのバスの車掌の名前まで書いている。その後、久しぶりにこの地を訪れたときの話では、あの「実用洋食」のメニューと値段を紹介している。いまは清澄白河は、カフェや個性的な店が集まるオシャレな街として雑誌などに紹介されるが、「気まぐれ美術館」は、陰影が濃い戦前を含めた昭和の清澄白河を記録している。

 この同潤会清砂通りアパートは2002年に取り壊され、跡地に高層マンションが建てられている。

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2019/04/27

喫茶店でサンドイッチを

 好きなカフェの食べ物は何ですかと問われ、ナポリタン、カレーそしてサンドイッチと答えたら、”それは昭和の喫茶店ですよ!しかもうちのメニューに無いものばかり”と言われてしまった。そもそもオジサンはカフェと喫茶店の違いがよく分からない。営業許可では飲食と喫茶の違いがあるそうだが、なんとなくオシャレなカフェと昔ながらの喫茶店と思っている。

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 かつて喫茶店の食べ物は軽食と言ったが今はそれは死語らしく、カフェはフードとかスナックと表記している。しかもそこにはナポリタンやカレーはなく、XXXサンドと呼ばれるものは食パンでなく柔らかいフランスパンのようなものに具を挟んだものになっている。余談だが、なぜかあのパンは町のパン屋では売っていない、一体どこで手に入れられるのだろうか。

 ところがコンビニにはサンドイッチがあふれている。三角形の食パン、具の種類も豊富で選ぶのに困ってしまうほど。しかも昔ながらの定番のシンプルな具が入ったものもしっかりある。たとえばカフェではタマゴサンドをメニューに載せているところは少ないが、コンビニにはある。

 しかしコンビニのサンドイッチは、喫茶店で食べるものと違う。作ってから時間が経っているからだろうが、パンと具が妙に馴染んで一体化している。やはりサンドイッチは、パンと具のそれぞれの食感の違いが分かり、パンの切り口がしっかりしたフレッシュ感があるものを食べたい。ソースがすっかり染み込みしっとりしたのが好まれると言われるカツサンドさえも、カツがまだサクッとしているのを食べたいのだ。

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2019/04/20

Pikasso Guitar

 楽器メーカーが販売する有名演奏家の名のついたカスタムモデルは量産品の一部を変更した程度のものが多いが、なかにはデザインも構造も独自で完全に一品制作されたものもある。

 ジャズギターのパットメセニー(Pat Methey) とジャズ ベーシストのチャーリーヘイデン(Charlie Haden)のライブアルバムをYoutubeで観ていたら、複数のギターを合体させたような楽器の演奏映像があった。エレキギターでは6弦ギターと12弦ギターを合体したいわゆるダブルネックギターやネックを単純に5本並べた巨大ギターもあったが、パットメセニーのギターは色々工夫されているようなので調べてみた。

  Pikasso Guitarは、Linda ManzarがギタリストPat Methenyのために作ったギターだ。Manzarによれば、四つのネックと二つのサウンドホールを持ち、弦は42本となっている。ネックは2本のように見えるが、映像がアップになると四組の弦がボディ上で立体交差のように張られているのが分かる。6弦ギターが一つ、フレットなしの12弦らしきものが三組加わり合計42弦となるようだ。さらにManzarは、Pikassoを拡張したようなMedusa Guitarも作成しており、それは52弦になっているそうだ。

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2019/04/14

ドナルド・キーンの音盤風刺花伝

 2月に96歳で亡くなられたドナルド・キーンは、日本文学および日本文化に関して多くの著作を生み出したが、彼はクラッシク音楽愛好家でもあり著作もある。「ドナルド・キーンの音盤風刺花伝」(1977年、音楽之友社)は、彼の最初の音楽エッセイ集、今も音楽之友社から発行されているレコード芸術の連載をまとめたもの。

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 16歳のとき叔父から贈られた蓄音機で家にあったレコードを聴き、カルーソー(イタリアのテノール歌手)の歌声に魅せられオペラ好きとなり、その後メトロポリタン歌劇場でオペラの舞台上演を見るようになる。大学を卒業し海軍に入隊しハワイに配属され、その後ニューヨークに戻りさらにイギリスに渡りそこでコベント・ガーデン歌劇場へ足を運ぶようになる。そこでいまや伝説の歌手となったマリア・カラスの「ノルマ」や「トスカ」を観てその力強い歌声と存在感に強い印象を受ける。その後も様々なオペラ公演を観つづけ、多くのレコードを集め、それぞれの公演と歌手の印象を語っている。その歯に衣着せぬを語り口は、ちょっと辛辣だが素直でもある。

  音盤風刺花伝は、ドナルド・キーンの長い音楽鑑賞遍歴の中から音楽会や出演していた歌手、集めたレコード、さらに音楽を取り巻く話を語っている。なにしろ10代のころからクラッシク音楽に親しんでいるだけあって、いまでは神格化されたり、その逆に名を見ることが少なくなった音楽家の全盛期の話は、じつに興味深く面白く、これをきっかけにしてYoutubeでマリア・カラスのノルマを探してしまったほどだ。

 

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2019/04/07

Y3・SS

 写真文学散歩は、それぞれの写真の撮影データを記載している。たとえば続写真文学散歩の太宰治「斜陽」のページは伊豆半島からみた富士山の写真にオリンパスレフ・F5.6・1/200・Y3・SSとある。オリンパスレフはカメラ名、F5.6・1/200は絞りとシャッタースピードだが、Y3・SSとは何だろうか?

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 Y3は、レンズに付けるフィルターの種類を示している。父親がモノクロフィルムで写真を撮るとき、レンズに黄色いフィルターを付けていたことをかすかに覚えている。そのフィルターはY1,Y2,Y3と数字が大きくなるほど色が濃くなり、モノクロ写真のコントラストを強調する効果がある。SSはフィルムの感度を示している。かつてフジフィルムから販売されていたモノクロフィルムは、ネオパンS、SS、SSSの3種類あり、その感度はISO50,100,200であった。つまりY3・SSは、レンズに濃い黄色のフィルターを付けてISO100のフィルムで撮影したことを表しているのだ。

 デジカメは、ISO感度はカメラ本体で大きく可変できるし、コントラストも写真ソフトで調整できるのでフィルターを意識する機会は少なくなった。フィルム撮影用のフィルターは、今はまだメーカーのカタログに載っているが将来はどうなるのだろうか。

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