古書との出会い:懐かしの銀座・浅草(文:平野威馬雄、画:小松崎茂)
懐かしの銀座・浅草は、文:平野威馬雄、画:小松崎茂、1997年、毎日新聞社による本です。
平野威馬雄さんは、詩人で仏文学者ですが幅広い活動をしUFOや幽霊の研究に加えて、東京本、特に銀座に関する本を数多く残しており、料理愛好家の平野レミさんのお父さんです。小松崎茂さんは、かつて少年雑誌の挿絵を数多く描いた画家で、その精密ながら独特な力強さのある絵は今も人気が高く、最近も新たな本が出版されています。
懐かしの銀座・浅草の文と画は、よくある文のところどころに挿絵が入る組み合わせでなく、前半は小松崎さんが20歳代に描いた戦前(大正4年生まれの年齢から計算すると昭和10年前後)の東京風景を集めた画集、後半は平野さんの銀座に関する文集となっており、それぞれ等しいページ数の二つの本を合体して一冊にまとめた本です。
昭和初期の銀座には斬新なデザインと色調の建物が並び、裏通りには粋な日本家屋があり、水辺に小船があふれ、懐かしく美しい風景があふれています。この本にある小松崎さんの画を見ると、なぜ多くの作家が戦前の東京の姿を懐かしむ文章を書いたか分かるような気がします。
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