エッグライスから「オムライスはお好き?田辺聖子」へ
昨日につづいて「家庭料理全書」のご飯メニューから、今回はエッグライスを紹介しよう。
エッグライスの材料は、卵3個、玉ねぎ1個、ハム2枚、青豆大さじ1杯、バター大さじ3杯、塩コショウ、トマトケチャップ大さじ2杯、小麦粉大さじ1杯、ご飯5人分、醤油となっている。
作り方は、玉ねぎとハムを細かく切り、鍋にバターをいれ玉ねぎとハムを炒め、ご飯を加えて混ぜ合わせ、塩コショウで味付けをする。つぎに卵3個を割り、塩コショウで味付けし卵焼きを5枚つくり、炒めたご飯を包みお皿にもる。
トマトケチャップはどうするかというと、これがソースになるんです。鍋にバター、小麦粉をいれ、水、トマトケチャップを加え、塩コショウ・醤油で味を調整し、先ほどの上にかけます。
これって塩コショウ味ご飯のオムライスでは?
それにしても昭和30年代と現代で、料理名がこれほど違うとは、いったいどういうことだろう!
ところで田辺聖子の短編に「オムライスはお好き?」がある。定年が近づき、課長から平社員に降格されたお父さんの話だ。
サラリーマン社会で降格というと、なにかとてもドロドロしたような、悲しいようなものを想像するが、これがまったく違う。部下の面倒もみなくてよいし、残業もしなくてよいので、じつに気楽なのだ。そんなお父さんは家に帰ると、のびのびとしてオムライスやあぶたま料理など、いままで出来なかったことを楽しむ。
そんななか、お母さんだけが取り残された気分になるが、お母さんとお父さん二人の小さな冒険で、それも乗り越えそうなところで話が終わる。いま団塊世代の定年問題がにぎわっているが、田辺さんのユーモアを交えたこの小説が、今から25年前(昭和55年)に書かれているのに驚いてしまう。
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