牛肉百匁ください
昭和34年版家庭料理大全には、材料の値段表がついているが、その材料の単位が100匁(もんめ)・375グラムとなっている。たとえば牛ロース375グラム(100匁)300円、塩鮭375グラム(100匁)71円、などと記載されている。また料理例でも、すき焼きでは牛肉563グラムという中途半端の表示のあとに、(150匁)と括弧をつけて表示している。
匁(もんめ)という単位は1匁=3.75グラムで、一部の商品をのぞいて現代では使われていないが、昭和30年代は、まだ普通に使われていたようだ。たとえば、肉屋の店先では、”牛肉百匁ください”などという会話が交わされていただろう。
この匁について、茂出木心護は、「たいめいけんよもやま噺」に”今日は百匁あったから二万五千円売れたよ”という話を書いている。その日の売り上げを計算するとき、受け取った札の重さを計って、売上額を勘定した。昭和23年、飲食店の営業が規制されていたので、たいめいけんが惣菜屋をしていたときの話だ。
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