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久しぶりに出張することになったので、土曜日の午後、神保町へ旅行ガイドを買いにいった。なぜか新刊書店も古書店もみな混んでいる、夏休みに入ったからだと聞いたが、見かけるのはオジサン・オバサンばかりで、夏休みとはあまり関係ありそうもない。どうも町歩きの場所として、神保町にくる人が増えてきたように思える。
さていつもの通勤本だが、「東京散歩 昭和幻想」(小林信彦、光文社)を選んだ。じつは、この本の表紙に「日本人は笑わない」改題とあり、すでに「日本人は笑わない」(新潮文庫)は持っているので買うのをためらったが、東京散歩本ということで購入した。読み始めてみると、章の順番も変えてあり、ただ単純に題名を変えた本でないことが分かる。
ところで、前回の「日本人は笑わない」、今回の「東京散歩 昭和幻想」、この二つの題名は、あまりにかけ離れた印象を受けるが、どうしてこのような題名したのだろうか。前者であれば、小林さん得意の喜劇や映画などのエンターテイメントを扱った本のような印象だが、後者だと、やはり小林さん得意の東京を舞台にした本、たとえば「私説東京繁昌記」につながる本のような印象だ。
じつは「東京散歩 昭和幻想」のなかに”小説の題名”という話があるが、小林さんの書き下ろし「世界でいちばん熱い島」の題名が森村桂さんの「天国にいちばん近い島」に似ていると、ある批評家に評された話だ。その題名にするまで130ほどの候補をあげて決めたそうだが、こんな評論をされるとは、小説家は大変だと思わず同情してしまう。
そうは思っても、やはり題名は気になる、「東京散歩 昭和幻想」のときは、いったいいくつ題名の候補があったのだろうか。
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コメント
このタイトルの違いは凄いですね。なんだか、柳の下でどじょうを2匹釣ってきたって感じがしませんか(^^;
投稿: masa | 2006/07/23 17:42
うーん、この二冊、両方ともタイトルが本の内容に合っていないように思いますが、「東京散歩 昭和幻想」は東京堂書店の東京本コーナーにも置かれているので、商売としては成功でしょうか。
私は、それで釣られてしまいました、さすが光文社です!
投稿: じんた堂 | 2006/07/24 22:20