紫の・・・
今朝、通勤カバンに放り込んだのは、「銀座24の物語」(銀座百点編、文春文庫)。先日、購入したままになっていたが、昨日からの銀座つながりでこれを選んだ。
表紙裏にある編者紹介によれば、”「銀座百点」は昭和30年に創刊された日本第一号のタウン誌。銀座の情報だけでなく、文化を表現する事にポイントを置いて編集され、創刊号から久保田万太郎、吉屋信子、源氏鶏太ら著名人が執筆に加わり・・・また向田邦子「父の詫び状」、池波正太郎「銀座日記」など、連載からベストセラーが多数生まれている”とある。「銀座24の物語」は、題名どおり銀座百点に1999~2001年に掲載された24の短編を集めたものだ。
「銀座の貧乏の物語」(椎名誠)、「迷路」(皆川博子)と読み進み、「草の子供」(久世光彦)のページを開いたら銀巴里の話が書かれていた。”戦争は九年前の1945年に終わった”とあるから、時代は1954年(昭和29年)らしい。主人公の彼女は銀巴里のレジに勤めており、銀巴里の様子も書かれている。”銀巴里は、シャンソンと珈琲の店だった・・・ぼくはたいがい白い柱の蔭になった席で、丸山臣吾という少年が舞台に現れるのを待っていた。・・・その少年は、黒いトレアドルパンツにハムレットみたい薄紫のブラウスを緩く纏い・・・”とある。
薄紫のブラウスを着た少年、これはもしかして?
さらに読む進むと、”ふと気紛れに銀座へ出て銀巴里へ寄ったら、きょうの出演という店の前の貼紙に、丸山明宏という名前があった。丸山臣吾も、丸山明宏に変わったのだ”とある。小説なので、どこまでが実際の話しか分からないが、まさしくこれは三輪明宏の前身である丸山明宏が誕生した時代の話だ。
この本は銀座つながりで偶然選んだが、またしても”紫の・・・三輪明宏”につながってしまった。この不思議な巡りあわせは、なんだろうか。
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