東京物語(源氏鶏太)
タイトルの一部に「東京物語」を含む本は何冊ぐらいあるのだろうか。ほとんどの本は、「新東京物語」や「私の東京物語」など、XXXX東京物語としているものが多いようだが、「東京物語」の四文字だけという本は、シーリーズものを除けばあまり見かけない。
サラリーマン小説で有名な源氏鶏太の小説に、そのままずばり「東京物語」がある。先日、古本屋の棚でその名前だけを見て買って読み始めた。同じ会社に勤める男女の会話のやりとりと、その奥にあるそれぞれの心の動きを対比しながら、さて二人はどうなるのだろうかと読者を引っ張っていく。その話の展開は、一歩間違えれば単調と言われるかもしれないギリギリのところにある。結論から言えば、これはサラリーマン小説でなく、オフィスを舞台にした恋愛小説、別の見方をすれば22歳のOLを主人公にしたOL小説ともいえる。
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