大横川を歩く
深川に「深川」という名の川はないという話は、ひとまず置いといて、深川門前仲町近くにある大横川を歩いてみた。
この時季は「深川さくら祭り」、大横川の桜はライトアップされている。既に満開のピークは過ぎており、川べりの小道は花びらでうまり、川面にも花びらが浮いている。ちょうど満潮時間らしく、川の流れは止まり鏡のようになり、ビルの明かり、桜並木の提灯の明かりを川面に映している。
「江戸深川情緒の研究」(深川区史編纂会、大正14年)は、”両側は水であった、水の外何物もなく、それは薄暮の蒼い光りの中に幽かに横たわっていた”というヴェネチア風景の記述からはじまり、さらに”深川はヴェネチアに比較してもよいほどの水郷で、その四至は水によって割られている。・・・”と深川風景を紹介している。
当時の風景をそのまま見ることは困難だが、漆黒の水面に映る光りの列にかつての賑わいを、暗闇の中にそこだけぼんやり明るい橋の姿にかつてのヴェネチアに例えられた水の町の名残があるように思わせる。
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