俵屋の不思議(村松友視)
今週の通勤本は、「俵屋の不思議」(村松友視:世界文化社)。
俵屋については説明は不要だろう、。私自身、その表を通っただけで、いまだに入ったことはないが、俵屋は、京都、いや日本で一番の旅館と言われている。この本は、その俵屋について書かれたものだが、私が、この本を手に取ったのは、その帯にあるサブタイトル「職人がいなくなったら、俵屋はなくなります」に興味を引かれたからだ。
様々な製造現場を見てくると、長い間に積み重なれた経験、およびその経験に裏打ちされた発想力がいかに貴重であるかを感じる。何か問題があったとき、マニュアルがなかった、マニュアル通りに作業していなかったなどが話題になる。しかし、マニュアルは、過去の失敗例が反映されたもので、まだ誰も経験したことがないような新しい問題への解決策にはならない。従って、「今後、二度と同じような問題が起きないように致します」いう言葉で終わってしまうことが多い。
しかし、職人の中には、自らの記憶の引き出しをさがし、そのものズバリのものがなくても、いくつか組み合わせることで、新たな要求や問題をごく当たり前のように対応・解決してしまう人がいる。このような職人さんは、今や見かけることは出来ないと思っていたが、俵屋の周辺ではいまも活躍されているらしい。
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コメント
じんた堂さんのこの記事を見てさっそく私も読んでみました。
俵屋についてはいろいろな意見がありますが、女将の年さんという存在が実に大きいことがこの本を読んで感じました。
投稿: fuRu | 2007/08/06 11:53
fuRuさん、こんばんは、
部屋に飾る花一つに対しても、ものすごいこだわりを持っている女将さん、このような主人あっての職人さん、どちらが欠けても成立しない世界があるような印象を、私は持ちました。「こだわり」も、ここまで見事だと、その世界に浸ってみたい気になりますね。
投稿: じんた堂 | 2007/08/07 00:10