お母さんの趣味本#1@市川糂汰堂
本を整理していたら、料理・裁縫・きもの関係の本が出てきました。4月27日の一箱古本市、お母さんの趣味本は、その中から”きもの”をキーワードに何冊か持っていきます。
青木玉は、幸田文の子、すなわち幸田露伴の孫娘にして作家。吉岡幸雄は、京都在住で数多くの著作もある染色家です。「きもの暮らし」は、二人が京都と東京で行った対談をまとめたもので、日本の着物が社会変化に応じてどのように変わっていったか、きもの文化とはどのようなものかを語っています。本文も良いですが、脚注で解説される着物にまつわる用語は、なかなか参考になります。
たとえば悉皆屋(しっかいや)、広辞苑によれば、”江戸時代、大阪で衣服の染色・染返しなどを請け負い、これを京都に送って調整させることを業とした者。転じて、染物や洗張りをする店”と説明されています。
「きもの暮らし」では、本文の中で、”昔、梅原龍三郎先生のお父さんたちが悉皆屋としても非常に優秀だった・・・”と述べるとともに。脚注で、”悉皆屋はきものを制作するところである。意匠を起こしてどのような文様と色にするか、それを友禅染、刺繍、型染めなどのどの技法で表現するかを決め・・・”、のように説明されています。このことからは、染物屋や洗張屋というイメージとは異なり、悉皆屋は、衣装デザイン全体をコーディネイトするプロデューサーのような役割だったことが分かります。
「きもの」は、幸田文の小説ですが、「きもの暮らし」の中で、吉岡幸雄は、このように書いています”「きもの」という小説を読ませていただくと、時代背景とその時分のきものの記述が大変細かくなされていて、僕など染屋をやっている立場から拝読しても、普通の小説家が単に風俗として捉えているだけじゃなくて、極めて正確なことをお書きになっている。”
「新しい和裁」(山本らく)は、昭和35年に発行された裁縫の本です。赤ん坊の「おしめ」からはじまり、「浴衣」、「単のきもの」、「羽織」など、あらゆる着物の作り方を網羅しています。
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