E12
久しぶりに設計をする。
同じ機能や性能を目指しても、出来上がった回路や製品は設計者ごとに異なる。その回路の良し悪しは簡単に言えないが、目的を達成するのに部品数が少ないほうが、製造コストも低いし故障も少ないのは明らかだろう。
ところで私も経験があるが、回路設計を初めて間もないエンジニアが悩むのが、ある値を決めてもピッタリの値を持つ部品が無いことだ。例えば50オームという固定抵抗器が必要となったとしよう、それを会社の部品ストック部門に要求すると、通常はそのような在庫はないと答えてくるはずだ。
電子部品の数値は、ある数列が使われている。1から10までを、12分割した数字の並びになっており、これをE12系列と称している。たとえば10から100までの範囲であれば、「10,12,15,18,22,27,33,39,47,56,68,82」という数値列となり、47の次は56となり50ピッタリは存在しない。さらに1から10を24分割したE24系列でも、47の次は51となり50ピッタリはない。
どうしても50が必要であれば、その昔習ったオームの法則を思い出して、数本の抵抗を直列にして50オームを作るか100オームを2本並列にして50オームとするかである。しかし、こんなことをしていたら部品点数ばかり増えてしまい、コストが増してしまう。もともと部品には精度誤差あるので、ある値に固執しても意味がない。そんなときは、最初からE12/E24系列に従って回路パラメータを選んでいく方が全体がスッキリする。
電子部品のE12系列はあまり一般には知られていないが、誰も知っている12等分系列がある。
音楽でいう平均律は1オクターブを12等分したもの、すなわちある音とその2倍の音の間を12等分している。もちろん1オクターブをさらに多くの数列で分割することは昔から行われており、先日、テレビ番組でも放映されていたが、日本の田中正平は1オクターブを46分割した純正調リードオルガンを明治時代にドイツで開発した。この田中のオルガンの美しい音色は、当時のドイツ皇帝やブルックナーを感動させたそうだ。
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