0.1gのこだわり
部屋の大掃除をはじめたら、ラックのすみからレコードが出てきた。
「弦楽のためのセレナード」(マリナー指揮、アカデミー室内合奏団)は1968/70年録音、見つけたのはキングレコードが1993年に再発売したもの。A面をチャイコフスキー、B面をドボルザーク、それぞれ内周ギリギリまで使い、一枚で二度美味しい組み合わせになっている。
久しぶりに聴こうと、プレーヤーのスイッチを入れたらどうもおかしい。まだレコードに針を落としていなのにゴロゴロという音がする。なにしろこのプレーヤーは父親が買ったもので、もう30年以上経っているので相当ガタがきている。プレーヤーを点検したら、分解できるはずのターンテーブルとセンタースピンドルが固くくっついて離れない、スピンドルの底にあるプレートもすっかりオイルが乾きキズがついていた。これではノイズが出るのも無理はない、中古でもよいから良いプレーヤーを探そうか・・・。
とりあえずオイルを差して動かしたら、少しノイズが下がったので針圧調整をやり直した。
針圧は文字通り、カートリッジの針先にかかる力。おおよそ1~3g程度が一般的だが、なかには1.3g±0.2gとメーカーが指定しているものもあり、0.1g単位の調整が必要となるときもある。我が家のトーンアームは、針圧目盛りが付いているが、あまりあてにならず独立した針圧計を使用する。
さてこの針圧計は今は電子式が主流だが、かつては様々な形式のものがあった。
写真の天秤ハカリ式のものは父親が買ったものでたぶん30年以上経っているだろう、スライド式は私が買ったものだが、これも10年は経っているはず。
天秤ハカリ式は、カートリッジに指定された重さだけ小さな円盤状の錘を積み、ハカリの腕が水平になるようにトーンアームを調整する。ところが一つ問題がある。一番軽い錘が0.5gなので、1.0、1.5、2.0、2.5gのように0.5g刻みしか測れない。したがってピッタリ1.8gは測れない。
そこで登場するのが、もう一つのスライド式のもの。これは現行品でまだ入手可能だが、カートリッジで有名なSHURE社の SFG-2、スケールに0.5gから1.5gまで、0.05g刻みの目盛りがついている。最大が1.5gでは、1.8gは測れないと思われるかもしれないが、ご安心を。針を置く位置を変えることで、全ての目盛りを2倍に換算することができ最大3gまで測れるようになっている。
さて、この二つどちらが使い易いかと聞かれれば、これは圧倒的に天秤ハカリに軍配を上げたい。直感的で分かりやすい操作性はもちろん、錘のセットを全部つかうと最大6.5gと、SP用カートリッジの針圧までカバーしているスグレものだ。道具は凝りだすと、精密なものや多機能なものを求めがちだが、構造が簡単なものが一番使いやすいのは昔も今も変わらないのだ。
それにしても、ついほかの事に気をとられて、大掃除が進まない!今年中に終わるだろうか・・・それが問題だ。
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