ニッポンの縁起食・なぜ「赤飯」を炊くのか
いよいよ師走に突入、先月までは気が早いなと横目で見ていた「おせち料理」の広告も、その中身が急に気になりはじめます。
それにしても、なぜ新年にお屠蘇を飲み、おせち料理やお雑煮を食べるのでしょうか。黒豆・きんとんなどには、どのような意味があるのでしょうか。また、お祝いのときにどうして赤飯を炊くのでしょうか。このごろは季節感が薄れたとはいえ、季節の行事と料理はいまだに密接に関係しています。
こんな疑問に答えてくれるのが、「ニッポンの縁起食・なぜ「赤飯」を炊くのか」(柳原一成・柳原紀子:2007年、NHK出版)。
おせち料理・赤飯については本を読んでいただくとして、今回は、寒くなるこの時季に特においしくなる「鴨なんばん」の話しをしましょう。
上記の本では、”なんばんは「難波」。かつての大阪・難波がねぎの産地だったことからきています。つまり「鴨の難波」なのです。”という難波ねぎ説を紹介しています。ただし、この本でも南蛮ととらえる向きがあると書いていますが、鴨なんばんは、長崎の南蛮料理を参考にしてうまれた南蛮説もあり、こちらも根強く支持されています。
ところで南蛮という字がついても、カレー南蛮やアジの南蛮漬けとなると、ネギはネギでも玉ねぎが多いようです。玉ねぎとなると、どこか洋食の感じがして外国の料理のように思われ、がぜん南蛮説が有力となります。しかしこれも、長ネギカレーがあったように、長ネギでも玉ネギでもネギには違いないから「カレー難波・カレーなんばん・カレー南蛮」だという解釈もできます。
どうも「鴨なんばん」ひとつをとっても、その語源はなかなかはっきりしませんが、この時季になると鴨なんばんが美味しくなることは皆さん一致しているようです。
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