梅雨をまえにして
ハッキリした蔭を作り出す真夏の強い日差しとちがって、梅雨をまえにしたこの時季の日差しは、路地の風景をしっとり描きだす。
本郷菊坂の路地近く、上下左右をコンクリートで塗り固められた壁の一部から、古い石積みが露出している。
かつては壁のようにずっとつながっていたらしい石積みだが、いまはガレージや家に寸断されて、複雑なモザイク状態。水の多かった地のなごりか、その石積みの隙間からは植物が伸び、小さなウォールガーデンを作り出す。
地面から壁の途中に黒黄テープの巻かれたパイプが一本。
子供の忘れ物だろうか、そこに小さな黄色い柄のビニールカサがちょこんと。
石積みだけであれば無機的な風景かもしれないが、パイプとカサが加わることで一気に生活感が出てくるから不思議だ。この構図と湿度感のある色合いに惹かれて、思わずシャッターを押してしまった。
| 固定リンク
コメント