シュロ並木@北千住
北千住のはずれにあるお寺につながる道、シュロがずらっと一列並んでいる。
高さはゆうに2階屋を越え、空に向かってすらっとそびえている。
シュロは、その表皮にスジが積み重なった模様の幹と、頂上付近にだけ葉がついている樹形から、南国のヤシの木を連想する。しかしヤシのように大きな実はならない。初夏に黄色い花、やがて表面に粉を吹いたような黒い小さな実をたくさんつける。鳥がついばんでいるのをみたことがあるが、その実は、民間薬としても利用されていたそうだ。
シュロは、生活に深く関わってきた木である。身近なところでは、「シュロほうき」や「ハエたたき」など日用品となる。我が家の近くにあった理髪店は、シュロほうきで店の床を掃除をしていた。珍しいところでは、シュロの幹は、お寺などの「鐘つきの棒」に使われていた。シュロは、その南国風の樹形を楽しむだけでなく、このように実用的な木でもあったのだ。
江戸時代はふすま絵にも描かれ、昭和までは屋敷の庭にも見られたシュロだが、植木屋さんによれば、”いまは野生化してどんどん増え、意外に成長も早く大きくなるため、やっかいものあつかい”だそうだ。
栄枯盛衰は人の世のつねであるが、木もまた同じかもしれない、すべて諸行無常である。
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