コバルトブルーの忘れ物
碍子という文字を知っているだろうか。
碍子はガイシと読み、電線を張るときの絶縁支持端子として使われる。いまは高圧鉄塔や鉄道の電柱でみかけるだけだが、かつては住宅への引き込みや屋内配線にも使われていた。
先日、日本橋を歩いていたら、お店の外壁に黒っぽい糸巻きのようなものが付いているのに気づいた。
碍子!しかも濃いブルー!
ガイシは磁器製なので白色のものが多いが、ブルーのガイシは珍しいかな・・・と思いながら我が家近くの商店街を見回したら、同じものがあった。電柱から家に引き込まれている電線を支えるワイヤーに、このブルーのガイシがついている。どうやら、これは共通に使われている部品らしい。(10/5追加:電力資材カタログを調べたら、これは低圧引留碍子という部品で白と青の二種類があり、家庭用電線を引き込む場合は青を使用するらしい)
ところで、色の名を他人に伝えるのは難しい。赤・青・緑のような原色であれば簡単なのだが、自然の中で見かける微妙な色合いとなると、それをどのような色名で表せばよいのか悩んでしまう。
たとえば青といっても、明るい青もあれば暗い青もあるし、さらに色合いも様々でマリンブルー、セルリアンブルー、サックスブルー、スカイブルー、ネービーブルー、プルシャンブルー、コバルトブルー、ミッドナイトブルー、インディゴなど数え上げればきりがない。これらの色の違いをピッタリと言い当てられるだろうか・・・。
漢字の色名も難しいものが多い。藍色も、薄藍、濃藍あたりは分かるが、青藍、藍鉄、藍錆、紺藍となるとお手上げだ。染物や工芸にで使われる紫色には、勿忘草色(ワスレナグサ)、露草色、薄花桜、紫苑色、桔梗色など美しい名前が多い。こういう色名を、さらりと語る人は、なんと粋だろうかと感心してしまう。
さて壁に忘れられたように残された青いガイシ、この色は何と言えばよいのだろうか。ただの青とはちょっと違う、群青、青磁、それともコバルトブルー・・・。
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