モノラル・リスニング・テクニック
家庭用オーディオ装置がモノラルからステレオへ移行しはじめた1960年代中頃、ステレオ装置の設置から聴き方までを特集した雑誌があった。タイトルは、ステレオ・リスニング・テクニックのような。
ステレオ装置は、従来のモノラルと互換性をもつように開発されてきた。古いモノラルレコードを新しいステレオレコード再生装置にかけても、ちゃんとで再生できる。そのときモノラルは、左右スピーカーの真ん中に定位するようになっている、というか、ステレオ装置はそのように設置・調整しろと書いてあったはずだ。
・・・と建前はそうなっているが、ステレオ装置で聴くモノラル音源と、モノラル装置で聴くモノラル音源では、微妙に違うように感じることがあった。とくにステレオの左右スピーカー間隔が広いと、それが目立つようだった。
そんなとき私が行っていたのが、右または左のスピーカーだけから音をだす、1ch再生によるモノラル・リスニング。
左右音量のバランスコントロールを、どちらか一方に回しきり、片側のスピーカーからだけ音がでるようにしてモノラル音源を聴くのだ。こうすると、部屋の中のどの場所で聴いても音源がはっきり定位し、音も充実したように感じる。その時、ボリュームを少し上げるのがコツだが。
なぜこんなことを思い出したかといえば、先月発売されたビートルズ・モノBOXである。久しぶりにモノラル音源をしっかり聴きたくななったのだ。
ビートルズモノBOXを聴いている皆さんは、どのように聴いているのだろうか?
たぶん、ほとんどの人がステレオ再生状態で聴いていると思うが、ふだんあまり使用しない音量バランスコントロールのツマミを回して、スピーカー一つによるモノラル・リスニングを試してみたらどうだろうか。もし気に入らなければ、ツマミを戻せば良いのだから・・・。
写真は、リマスター・モノラル盤A Hard Day's Night。
| 固定リンク
コメント
こちらにもモノボックスが。
実は、僕の場合には、ラバーソウル、リボルバー、サージェント、すべて、モノラルを生まれて初めて聞いたのです。とても新鮮でした。ちなみに、聞き方については特に工夫もなく、基本的にはiPhoneでステレオインナーイヤーで聞いています。
投稿: fuRu | 2009/10/27 10:12
furuさん、コメントありがとうございます。
まさか、今になってモノラル音源のCDを買うとは思っていませんでしたが、オリジナル構想に近いものが、もっとも作品の真髄を表しているのではと思い購入しました。
ところで、私もiPod+イヤホンでも聴きましたが、やはり、私はスピーカーで聴くほうが好きですね。また、まだ試している途中ですが、モノラルは周波数帯域が狭いような印象がしたのですが、これは昔からある話のようです。じつは、ステレオの効果として、周波数帯域が広がって聴こえるというのがあるそうで、ステレオに慣れた状態でモノラルを聴くと、この逆の現象が起きるのかなと・・・。
投稿: じんた堂 | 2009/10/27 22:24
こんばんは。周波数特性の拡縮は印象としてはあるかもしれないのですが、モノラル音源の場合、LとRにまったく同じ音声信号が流れてるので物理的にはないでしょう。スピーカーの間隔が広い場合(そしてその中間で試聴していない場合)は、左右の位相差が生じて、周波数特性のなかで凹むところ、突起するところが左右の壁の影響等で若干生じる場合がありますので(それが特性の拡縮と感じられるのかもしれませんが)、片側だけで再生するのはひとつの回避方法だとは思います。ヘッドフォン試聴の場合はそういった外因影響がほぼないので左右鳴らしていても問題ないかと思います。
わたくしは左右を鳴らして真ん中で(じっとして)聴くのが好きです!
投稿: M.Niijima | 2009/10/28 02:40
Niijimaさん、コメントありがとうございます。
そういえば、コメントにありました”左右の壁の影響”に思い当たることがあります。じつはスピーカーを、部屋の左右コーナーに置いていますが、部屋の右側はしっかりした壁ですが、左側の壁にガラス窓(厚いカーテンをかけていますが)があり、このため左右で反射音が異なるかもしれません・・・なるほどです。
ところで昨日、神保町の神田古本市に立ち寄ったら、”ビートルズ歌集”を売っていました。シンコーがまだ新興だった頃のギターコード付き歌集というものですが、いまや懐かしの昭和本扱いでした。
投稿: じんた堂 | 2009/10/28 10:33