「新参者」を読む
水天宮交差点前にある書店PISMOは、新刊本の本屋。村上春樹の1Q84が発売されたときもそうだったが、店内入り口正面に置かれた書棚の上から下まで平積みを含めて、すべてをイチオシの本で埋め尽くすことがある。
いまその棚を埋めているのが、新参者(東野圭吾、講談社、2009/9月)。
新参者は、日本橋警察署に転任してきた刑事を主人公にした小説.。
この刑事、役人ような堅苦しさはなく、むしろ若いが人情家。それでいて、小さなことから事件解決の糸口を見つけ出す、デキル刑事でもある。その彼が、事件の聞き込みで歩き地元の人の生活や人情に触れるのが、甘酒横丁・水天宮を中心とした日本橋人形町なのだ。
煎餅屋、玩具屋、刃物屋など、それぞれ店名は架空のものになっているが、これはあの店をモデルにしたのではと思わせるものが次々登場する。
この本を読み甘酒横丁を歩けば、ここはあの店ではと楽しめること間違いなしである。
各章は、短編のようにまとめ、それを積み上げて長編としているので、まるで連続TV小説をみるようなテンポのよさがある。舞台は東京下町人形町、登場人物もそれぞれ個性があり、すぐに2時間TVドラマになりそうな楽しい小説である。
ところで主人公が所属する日本橋警察署はいかにもありそうだが、じつはこれも架空の名前。ところが人形町にある久松警察署は、かつて日本橋警察署とされていたことがあり、古いことを知る人には懐かしい名前だそうだ。
2010年4月18日追記
本日からTBSにて、日曜日夜9時に連続TVドラマの放映が始まる。主役の刑事役は、阿部寛。人形町界隈では、新参者のロケ現場をよく見かける。
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