オジサン青鳥症候群
”一人でのんびりお茶したいんですよ”
”それならばドトールで十分でしょう?”
”いやー、静かでひっそりした隠れ家のようなところ、どこかにないですかね・・・”
先客のオジサン二人の会話が聞こえてきた。
私鉄の小さな駅の南側にあるこの喫茶店は、人通りのある道路に面しているが、その存在に気づく人は少ないようだ。私自身も、ここに喫茶店があるとは長いこと気づかなかった。
外観はどこか洋風を感じさせる古い建物、左側ガラスドア越しに店内を見ると、左隅に煙草、中央に数種類の菓子が並んでいるのが見える。右側ガラスドアに珈琲と書いてあるので、珈琲豆も売っているのかと思わせるのだが、その奥は棚が置かれており、その先は暗く外からは見えない。
先日、この近くで用事をすませた後、なにか買ってから帰ろうと思いこの菓子屋に入ってみた。
並んでいる菓子をみて驚いた。都心のデパートに店舗がある某有名店のお菓子が並んでいる。しかも、詰め合わせだけでなく、好みのものをバラで買うこともできる。数個選び、会計をするとき”ドアに珈琲と書いてありますが”と聞いてみたら、”奥に喫茶もあります”との返事。
それでは珈琲をお願いしますとなり、最初の会話を聞くことになったのだ。
店のマスターとの会話から察するに、先客の二人は近くの常連らしい。私から見れば、今いるこのお店は十分隠れ家のような・・・。あれこれ語るオジサン達の会話に、青い鳥の話しを思い出す。
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