僕の東京地図(サトウハチロー)
「僕の東京地図」を読むの二度目、より正しく言えば二冊目。
以前、「僕の東京地図」(安岡章太郎)を紹介したが、今週、読み始めたのは全く同じタイトルの「僕の東京地図」(サトウハチロー)。サトウハチローは、佐藤紅緑(作家)の子、詩人・作詞家、童謡「ちいさい秋みつけた」などを作詞している。フォーククルセダーズ「悲しくてやりきれない」も作詞、佐藤愛子(作家)の兄にあたり小説・随筆も数多くある。
週末、神田の新刊書店で、地方・地域関係の本のなかにこの「僕の東京地図」(サトウハチロー、ネット武蔵野、2005)をみつけた。この本の初版は昭和11年、戦前の東京の町の様子を語る本としてよく知られるが、古書店でもあまり見かけない珍しいもの。
新刊書店の本棚にあったのは、当然、復刻本でネット武蔵野からの出版。オリジナルは高価だが、これは¥1470と手頃な価格。単なる復刻本かと思ったら大間違い。まえがきを佐藤四郎(サトウハチローの子)、あとがきを星野哲郎(作詞家)、さらに各章に戦前の地図を加え、じつにまじめに作られた復刻再編集本。
収録されている地域は、浅草~向島、上野~谷中~本郷、銀座、芝~三田~麻布、泉岳寺~蒲田、牛込・神楽坂~早稲田、新宿~四谷、池袋~田端、御茶ノ水~九段、日本橋~月島~丸の内。
町の様子が詳しく描かれているのはもちろんだが、登場する有名・無名の人物がみな個性的で面白いのは、酒豪で人づき合いが良かったサトウハチローならではだろう。この本は、昭和初期の東京を楽しみながら知る一冊である。
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