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2010/12/05

装丁買い

 神保町の喫茶店前で、先日リニューアルオープンした中古レコード店で買い物をしてきた方と立ち話。”ジャケ買いですよ”と言いながら、大きな紙袋をうれしそうにみせてくれた。

Ginzagawa_2 ”ジャケ買い”という言葉は、今も通用するのだろうか?略さずにいえば、”ジャケットのデザインが気に入り買いました”となるのだが、単純に”ジャケットデザインが好き”だということだけでなく、じつは”その歌手・演奏者が好きなのだが、そこはちょっとぼやかしたいのでジャケットが気に入ったことにしておこう”などの場合もあって、なかなか奥が深いときがある。それもこれも、レコードの中身とそれを包むジャケットが、それぞれ別の作品として鑑賞できるからだろう。

 ところで、先日、コーヒーの中に落としたと思えるほど中身が茶色に変色しているが、表紙デザインが洒落た古い本を格安棚でみつけた。裏表紙のイラストに小さくY.hanaとサインが入っているので、もしやと思いページをめくたっら装丁花森安治の名。本は、「銀座川」(井上友一郎、文芸春秋新社、昭和26年)である。

 最初の数ページを読んでみたら、銀座のバーで働く女給(ホステスでなく女給というのがこの時代らしい)を主人公にした話。すぐに中身を読む予定はなかったが、表紙デザインが決め手となり購入。この場合は装丁買いだろうか。

 電車内で少し読んでみたら、登場人物の描き方が以前DVDで観た「銀座化粧」(成瀬巳喜男監督)と似ている。自宅に戻り、井上友一郎を検索したら「銀座二十四帖」「銀座化粧」の原作者であった、どうりで似ているわけだ。なお井上友一郎は、INOUE TOMOICHIROである。中扉にGINZAGAWA・BUNGEISHUNJYUSHINSHAとともに作者名がこのように表記されている。さすが花森安治の装丁、なにげないがきっちりデザインされている。

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コメント

ご無沙汰してます、ゆず虎嘯です。

本のジャケ買い、私もします。
好きな人の装丁だと背表紙だけ見ても“あれ?”って気づくものです。

ちなみに私のジャケ買いは柳原良平&花森安治&芹沢銈介ですね。

実はご相談したいことがあるのでメールアドレスに返信いただけませんか?
よろしくお願いいたします。

投稿: ゆず虎嘯・tora | 2010/12/19 01:36

ゆず虎嘯さん、こんにちは、
同じ中身の本でも、装丁次第で本の存在感が大きく変わるように思います。これは電子出版がカバーできないところかもしれませんね。ちなみに装丁家といえば、私は平野甲賀も好きです。
なおメールに返信しておきましたので、ご確認下さい。

投稿: じんた堂 | 2010/12/19 20:42

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