ホカホカのオンデマンド本
「僕の東京地図」(サトウハチロー)、「僕の東京地図」(安岡章太郎)、「わたしの東京地図」(高橋義孝)など、「東京地図」がつく本は、いずれもその時代の東京の姿を描いて面白い。
その中にあって「私の東京地図」(佐田稲子)だけは、まだ読んでいなかった。これは初刊が1949年、その後1989年に講談社文庫が出たが、それも長い間重版未定となっていて事実上は絶版状態が続いている。
先日その「私の東京地図」(佐田稲子)をついに入手した。しかも完全な新品美本である。
ニュースで流れていたが、12月15日から神田三省堂本店で「店頭オンデマンド出版」のサービスが開始。このサービスは、英語・日本語のオンデマンド出版可能な本を、店頭に設置された機械で印刷・製本し、すぐに手渡してくれる。発注から完成までは、わずか10分というスピード処理が特長。
サービススタート時の日本語本は、講談社オンデマンドブックスス(約50冊)に限られるが、そのなかに佐田稲子「私の東京地図」がリストされていたので早速店頭で注文してみた。価格は¥1260と、講談社文芸文庫版と比べて大きく違わない。
店頭オンデマンド出版装置は、デジタルコピー機+自動製本機+カラープリンタが合体したような装置。デジタルコピー機で印刷された本文は一枚づつ自動製本機に送られ、同時にカラープリンタが表紙を印刷し、自動製本機がすべてを合体させ糊付けして裁断を行なう。本の体裁は、厚紙表紙の軽装版、いわゆるソフトカバー本。
全てが完成するまで約10分ということだが、実際の印刷速度は非常に速くて10分もかからない。印刷、製本、裁断などの全ての工程が目の前で見られるので飽きないし、手渡された本は、まだ温かくてまさしく出来立てホカホカであることに感動すらしてしまう。
店頭オンデマンド出版装置は、まだ世界に50台、日本では三省堂が第一号機だそうだ。電子出版・電子書籍の本命は、各社から発表されている電子ブックリーダー(iPad、Kindle、Readerなど)だと思うが、従来の紙の本との橋渡しとなると店頭オンデマンド出版は、有力な候補になりそうだ。これは、今後どのように発展するか目がはなせない。
三省堂店頭オンデマンド出版については、こちらに案内・解説があります。
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コメント
面白そうですね。試してみようと思います。
投稿: AKi | 2010/12/22 11:06
わたくしも、佐田稲子の「私の東京地図」を読んでみたかったのです。これはよいことを教えていただきました。三省堂へ行って作って(購入)みようと思います。
投稿: M.Niijima | 2010/12/22 11:41
秋山隊長、お久しぶりです。
オンデマンド印刷装置の動作は、なかなか興味深いものがあります。それを見るだけでも十分楽しめると思います。
投稿: じんた堂 | 2010/12/22 20:30
Niijimaさん、こんばんは、
「私の東京地図」(佐田稲子)のような絶版本が、再び入手できるのは本当に助かりますね。今後の発展が楽しみです。
投稿: じんた堂 | 2010/12/22 20:43