それぞれの東京
神保町の東京堂で、「それぞれの東京」(川本三郎、淡交社、平成23年1月)を購入。
この本は、副題に「昭和の町に生きた作家たち」とあるように、昭和に活躍した作家と作品の舞台となった東京の町について月刊誌「なごみ」に連載したものを、一冊にまとめたもの。
取り上げられている作家は23人。芝木好子、池波正太郎などの小説家に加えて、俳優(沢村貞子)、俳人(石田波卿)、映画監督(成瀬巳喜男)など、いずれも東京に関する作品を残された方が選ばれている。舞台となる町は、東は砂町から西は八王子と、東京の下町から郊外までカバー、それぞれ写真も入っている。
この本を読み始めたら、紹介されている作家の本を読み、その町を歩いてみたくなる。まずは芝木好子「隅田川暮色」を読んでみようか。芝木好子は、「築地川」、「洲崎パラダイス」など東京の水辺を舞台にした作品があり、洲崎パラダイスは映画も見たが、隅田川暮色はまだ読んだことがない。その舞台は隅田川近くの浅草、時代設定は昭和35年だそうだ。
川本三郎は、芝木好子の章で、”あまりに変化が速い。風景が次々に変わる。だから東京の人間は近過去へのノスタルジーが強くなる。「歴史」より失われたもの「想い出」が大事になる”と語っている。
私も、この頃ちょっと昔の東京が気になっている。「それぞれの東京」は、私にとって、読み逃していた東京本を発見するとともに、東京の町めぐりを誘う本である。
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コメント
私も読んでみたいですね〜。
たぶん、購入すると思います。
関西にもこういうコンセプトの本って、あるのかな…。
大阪本、読んでみたいです。
投稿: わきた・けんいち | 2011/02/04 22:35
わきたさん、こんにちは、
「それぞれの東京」は、興味のある作家の章だけを拾い読みしても楽しめる、よくまとまった本です。もちろん、それぞれの作家の紙数は限られてますから、これを参考にしてさらに原作を読むような展開です。
ところで大阪ですが、「大阪人」という雑誌がありますから大阪本というジャンルもあると思いますが・・・。
投稿: じんた堂 | 2011/02/06 09:46