風の道
駅へ向かう途中のT字路を右へ曲がったとたん、甘い香りにつつまれた。突然だったのですぐに何の香りか分からず、5~6歩そのまま進んでやっと金木犀の花の香りと気づく。
T字路の縦棒が横棒と接するところの右角の家に金木犀がある。高さは大人の背丈の1.5倍ぐらい、樹形は横からみると卵のよう、たぶん真上からみれば円形だろう。
不思議なのは、T字路の縦棒の部分を歩いていたときは、まったく香りに気付かなかったことだ。もう一度、縦棒の道へ戻ったら、金木犀が見えるのに香りがしない。それが横棒の道に入ったとたん香りがあふれるという不思議な現象。どうやら風の流れぐあいで、このようなことになっているらしい。横棒の道を20歩ぐらい進んでも、まだ金木犀の香りがついてくる。金木犀の香りが、目には見えない風の道をおしえている。
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