「私の東京地図」小林信彦をよむ
新聞の新刊紹介で「私の東京地図」小林信彦をみかけた。小林信彦は、「私説東京繁盛記」(1984年に中央公論から刊行、その後1992年に新版を筑摩書房から刊行)など東京に関する一連のエッセイがある。その最新作、しかもいままで触れなかった東京の東を語っているとなれば見過ごすわけにいかない。ということで丸善日本橋店で購入。
本作でとりあげている地域は、赤坂、青山、表参道、渋谷、新宿、六本木、恵比寿・目黒、日比谷・有楽町、日本橋、銀座、神田、両国、人形町、深川、本所、品川。前作の私説東京繁盛記に含まれなかった本所・深川があらたに追加されており、他の地域より多くのページがさかれている。著者は、”私は東京をあまり知らない”と述べているが、深川だけでも1993年「イーストサイド・ワルツ」連載以来毎年訪れているので、その言葉をうのみにできない。それは東京人らしい思慮からでたのだろう。
小林信彦は、かつて変わりゆく東京に”町殺し”というキーワードをもちいたが、本作では”普請中”という言葉をもちいている。スカイツリー、ヒカリエなど、東京には新たな風景がうまれた。そして東京はいまも変わりつつある、本作はその一つの区切りの記録となるだろう。
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