下町ハイファイ古本市
まだ新入社員だったころ仕事の打ち上げのあとに、先輩から”もう一軒行こう”と新宿のあるビルの地下へつれていかれた。そこはカントリーミュージックのライブハウス。それまで生のカントリーを聴いたことはなく、出演者の名も初めてみる人ばかりだったが、その中に一人だけ知っている歌手がいた。カントリー&ウエスタン歌手ジミー時田だ。お客さんの反応もすごかったが、歌のうまさは当日の出演者のなかで抜きん出ていた。
ところで東陽町のダウンタウンレコードで開催されている「下町ハイファイ古本市」に、音楽好きの古本仲間が参加している。じんた堂も出品していて、その中にジミー時田につながる本がある。
イラストレータ沢野ひとしの「東京ラブシックブルース」は自伝的小説。主人公は高校生でスティールギターを習いはじめ、やがてプロとなりカントリーバンドに加わりキャンプまわり、ジミー時田のバンドにも所属、さらに音楽からイラストの世界へ向かう。小説だが、ミュージシャンや店は実名で登場している。
いかりや長介の「だめだこりゃ」は、ドリフターズのリーダーであったいかりやの自伝エッセイ。いまや伝説となったバラエティ番組「8時だヨ!全員集合」のために入念なリハーサルをしていたこと、クレージーキャッツとギャグが重ならないように苦心したこどなどが語られる。その彼もドリフターズ参加前にベーシストとして、ジミー時田のバンドにいたことがあった。
その後の進路は異なるが、いずれも若いころジミー時田と接点があったのだ。これを踏まえて二冊を読むと、印象がいっそう深くなる。
下町ハイファイ古本市
期間: 8月3日~9月1日まで 13:00~20:00
場所: 江東区東陽3-27-3 ダウンタウンレコード
定休: 毎週火曜・水曜
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