絵本の記憶
子供のころから最近読んだ本まで、そのあらすじはもちろん装丁から時代のエピソードまで詳しく述べられる人がいる。最近の本でもあやしいのに、子供のころ読んだ本についてあやふやな記憶しかない私は、ただただ感心してしまう。
子供のころ最初にふれる本が、絵本であることは間違いないだろう。大人になってからも絵本を読む人もいる。絵本ほど、幅広い世代の人が手にする本はほかにない。「絵本についての、僕の本」(片岡義男、研究社、1993年)は、著者が子供のころから所有していた絵本にくわえて大人になってから購入した絵本を、写真と文章で紹介している。選ばれている絵本が、みな外国のものなのは片岡義男ならでは。写真も著者自身の撮影、これも写真集をだしている片岡義男ならではだ。
この本でフリップブックという言葉を知った。いわゆるパラパラ・マンガといわれる形式の本を、英語ではフリップブックというそうだ。私は、子供のころノートの各ページの片隅に、ロケットの打ち上げからパラシュートが開いて地上に降りてくるまでを一コマづつ書いていた。これはお気に入りのテーマだったのか、ロケットを二段式・三段式とかえて、最初は右下隅に小さかったものがページの右縁の下から上までつかって描いたことが、いまは懐かしい。
そのころはノートに落書きしているようで、すこし後ろめたい気もしていたが、いまふり返るとあれは私の最初で、いまのところ唯一の自作絵本(フリップブック)だったのかもしれない。
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