除籍本の楽しみ
前回の東京の100横丁(矢吹申彦)につられて矢吹申彦風景図鑑(美術出版社、1979年)を入手。
この図鑑は画集+文集という構成、著書表紙に矢吹の絵を選んだ伊丹十三、矢吹が師と仰ぎ仕事でもつながる和田誠、土屋耕一、浅井慎平、小倉エージ、田中一光らが文章を寄せ、加えて本人のエッセイもぎっしり詰め込まれている。図鑑と名のっているが、大判雑誌のような作りがいかにも70年代サブカル本という雰囲気だ。
ところで今回入手した矢吹申彦風景図鑑は某社資料室が処分した、いわゆる除籍本だ。このような本は、会社印がベタベタ押されているし、帯はもちろん余分と思われる広告ページなどが削除されていることがある。それもあって古本としての評価(価格)は低いようだ。
しかし見方をかえれば、これほど楽しめる古本はない。会社印から購入社(者)が分かるし、除籍印に日付がはいっていれば、いつ処分されたかもはっきりする。すなわち、どこでどのぐらいの期間保管されていたか、さらに状態をみれば、どのぐらい利用されたかも推測できる。つまり除籍本は履歴書つきの古本なのだ。これを見逃すのはもったいない。
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