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2014/11/02

赤瀬川カメラ本のあとがき

 老人力や路上観察学入門などの著作がある赤瀬川原平は、カメラとくに中古カメラに関する本も数多くだしている。そのカメラの特長をうまくとらえた手描きイラストと読みやすい文章は、美術家であり作家でもあった赤瀬川ならではだろう。そのような本の1冊のあとがきを読んだとき、”えーそうなのか!”と驚いたことがある。

 「中古カメラウィルス図鑑新版」は、小学館ショトルシリーズとして2000年11月1日に発行。そのあとがきに、”この本は以前に手違いで、間違った状態のものが一部世に出てしまったが、それは直ちに回収。これは全面的に文章を書き換え、写真構成も正した改訂新版である”とある。

 じつは回収されたとされる旧版(2000年6月20日発行)を発売時に購入していた。たしかに新版は、旧版になかった目次が追加されているし、取り上げたカメラの機種も増えている。それならば新版を増補改訂版とするだけでよさそうだが、あえて旧版を回収したのはどのような事情だろうか?

 新旧を比べると、あることに気づく。奥付をみると、旧版では赤瀬川の名前は編者となっているが、新版では著者となっている。本文の内容も、聞き書きのようなものから著者自らの語り口調に変更されている。たぶんこのあたりに何かあったかもしれない。それにしても、あのあとがきは、自分が納得できない作品は世に出したくない、自分が書きたかったのはこういう本だという、どこか気持ちの強さを感じさせる文だ。

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