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2016/01/17

「音楽」術を読む

 晶文社日常術シリーズは、作者名「XXX」術のタイトルをもつシリーズ本。ブックデザインは平野甲賀、彼自身も平野甲賀「装丁」術なる本をだしている。今回読むのは日常術シリーズの6冊目、斉藤晴彦「音楽」術(1986年、晶文社)だ。

 斉藤晴彦は、黒テントで活躍した俳優だが、クラシック音楽に日本語歌詞をつけた歌唱で広く知られるようになった。本人はこれを「あて歌」としている。自らが作ったパロディ風の歌詞は、思わず笑ってしまう内容でありながらまじめに歌いきってしまう、その歌い方と歌詞のギャップが面白くCMにも採用された。

 この本は、斉藤晴彦がクラッシク音楽を聴きはじめた中学生から、大学生、演劇人となるまでの音楽体験をつづるとともに、そこで出会った音楽関係者との交流を語っている。もちろん「あて歌」が生まれたきっかけ、代表作を掲載している。そのなかには、あのモーツアルト「トルコ行進曲」もある。

 ところで、この本に本棚の写真が掲載されている。そのコメントに”よく読むのはエッセイ・・・風呂の中で、のんびりと田中小実昌や殿山泰司や井上ひさしのものを読む。音楽関係では作曲家の柴田南雄さんのものが好き。”とあるが。写真には、フルトヴェングラーの手記、デビットボウイ詩集、チャーリ-パーカーの伝説など幅広い音楽系の本といっしょに、エノケンと呼ばれた男、マルクス兄弟のおかしな世界、さらに志ん生のいる風景、志ん生一代など落語関係の本も写っている。これは、音楽だけでなくお笑いも好きだったことを想像させる本棚だ。

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