ロスト・アンド・ファウンド
1999年に公開されたヴィム・ヴェンダース監督の映画ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブは、キューバのベテランミュージシャンの音楽活動を紹介するドキュメンタリー映画。それは、埋もれていたタイムカプセルが突然現れたような衝撃を与えた。
1960年代初めにアメリカとキューバの国交が絶えたあとも、日本とキューバの関係は良好で音楽情報も入ってきていると思っていたが、いきなり今まで知らなかったミュージシャンが出てきた。マンボやルンバ、ペレス・プラードなど、中南米やカリブ海諸国の音楽はラテン音楽として日本では古くから親しまれていたが、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーはオマーラ・ポルトウンドを除いて初めて知る人々だった。
彼らの音楽は、どこか懐かしく心地よく多くの人々に受けいられた。ヨーロッパ各地で公演するだけでなく、アメリカ・カーネギーホールでの公演も実現。その後、個々のソロアルバムがリリースされたが、コンパイ・セグンド、イブラヒム・フェレール、ルーベン・ゴンザレスなどが亡くなり、新たなアルバムのリリースはもういだろうと思っていたが、昨年(2015年)、アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ロスト・アンド・ファウンド」が発売された。
これは未収録音源をあつめたもので、過去に録音されながらアルバムに入らなかったものが収録されている。ライブ録音ありスタジオ録音ありだが、全体を通しで聴くとブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーそれぞれの音楽を伝えるアルバムとなっている。歌も演奏も素晴らしく、これはキューバ音楽の遺産となる一枚かもしれない。
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