行きつけの喫茶店
散歩の達人6月号の特集「喫茶100軒」は、さまざまな分野で活躍する100人がそれぞれお気に入りの喫茶店を紹介している。オシャレな新しいカフェから昔ながらの町の喫茶店まで、まるで図鑑のように編集されている。
サラリーマン時代は、出張時の待ち合わせとか時間調整のためにチェーン展開している喫茶店を利用していた。駅前とか目的地へのアクセスが分かりやすい店を選ぶので、どうしてもそのような店に入ることが多かったのだ。チェーン店であれば、椅子やテーブル、メニューや価格も共通なので初めての店でも安心して入れる。しかし、そこはコスト管理が徹底しているチェーン店だけあって、久しぶりに訪れたら閉店して居酒屋になっていたりして慌てることもあった。
仕事を離れてとなると、これは通いなれた町の喫茶店に入ることが多い。あらためてそれらの店をふり返ると、いずれも表通りから少し奥まった路地にあり、さらに店主や店のスタッフの対応が心地よいところだ。店主のこだわりが強すぎると、カップひとつを手にするのも緊張して落ち着かないし。かといってゆるすぎて店の手入れが十分でないと、それが気になる。初めて入ったときは良いと思っても、二度三度訪れたらこれはちょっと違うとなり、それまでとなることもある。
山口瞳に「行きつけの店」という本がある。そこでとり上げられている料理屋や旅館は、味だけでなく、そこで働く人々の立ち振る舞いを含めた店の雰囲気が決め手のようだ。これは町の喫茶店選びにもあてはまる話だろう。
| 固定リンク
コメント