コーヒーと恋愛
”いつの間にか獅子文六がブームのようだ”という古本TさんのMの日記に触発されて、ちくま文庫で復刊された獅子文六の小説を読みはじめた。
「コーヒーと恋愛」(獅子文六、ちくま文庫)は、昭和37年~38年(1962~63)に読売新聞に連載された長編小説「可否道」を改題したもの。新劇出身でTVドラマの人気女優ながら美味しいコーヒーをいれることに誰もがみとめる才能をもつモエ子と、今の言葉でいえば格下夫となる年下の舞台装置家の夫の勉、その間に入り込む若い新人女優のアンナ、さらにコーヒー愛好家の集まりである日本可否会の面々がからむ恋愛模様をえがいた作品だ。
今から約50年前、作家が70歳のときに書いた作品だが、話の展開も言い回しも古さを感じさせず現代に通用する。唯一、話がタクシーやバスなどの料金に及んだとき、これが昭和30年代の作品であることを知るが。全体を通してみると舞台をパリやニューヨークに移しても成立しそうな軽妙なラブコメディになっている。これは映画化したら面白いだろうと思ったら、すでに1963年に制作されていてモエ子役は森光子だったそうだ。
ところでサードウェーブコーヒーというのがよく分からない。サードウェーブの特長として語られる、厳選したコーヒー豆を注文を受けてから粉にしハンドドリップでコーヒーを入れるのは、以前からちょっとした町の喫茶店でもやっていたし。産地にこだわりを豆を焙煎するところも以前からあった。サードウェーブとはなんだろうとモヤモヤしているうちに、マニアの間ではフォースウェーブの話がでているらしい。どうやらすっかり波に乗り遅れてしまったようだ。
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コメント
お久しぶりです。拙ブログをお読みいただいたようで、恐縮です。
ちくま文庫で復刊されている獅子文六の文庫、最新刊『自由学校』も読みましたが、これももちろん、どれを読んでも面白い。獅子文六、古本屋ではあまり見かけませんが、「こんな鉱脈があったのか!」という感じです。
投稿: 古本T@M | 2016/07/04 08:09
古本Tさん、こちらこそお久しぶりです。獅子文六は、食味歳時記しか読んでいなかったのですが、小説もなかなか美味しいとうかうまいです。話の展開と嫌みのないユーモアが気に入りました。
投稿: じんた堂 | 2016/07/05 09:50