目白押しならず
ベンチにおいた柿はすでに食べつくされたが、メジロはまだあるかと時々訪れてくる。そこで半分に切ったリンゴをおいてみたら、ヒヨドリが来てメジロを追い払い一気に半分ぐらい食べてしまう。そのヒヨドリが去ると待っていたかのようにメジロが戻ってきた。
ところでメジロのことわざといえば「目白押し」。広辞苑によれば”メジロが木の枝にとまるとき、押し合うように沢山並んでとまることから”とある。先日、いつも二羽だったメジロが四羽になった。はたしてこの四羽は押し合うように並ぶか見ていたが、どうもそのような様子がない。四羽のメジロは、カップル二組のようだ。一つのカップルがリンゴに向かっているとき、もう一つのカップルは近くの枝で待機し四羽が同時に並ぶことはないのだ。
もしかしたら、ことわざは成鳥でなく子供の鳥の話かもしれないと思いはじめたころ、興味深い本をみつけた。「鳥のことわざうそほんと」(国松俊英、山と渓谷社、1990年)は、鳥に関することわざや言い伝えを紹介しており、「目白押し」についても述べている。簡単にまとめると”野外では目白押しという光景は見られない。昔、鳴き声を楽しむため多くのメジロを一つのカゴで飼っていたことがあり、それらメジロが一つの止まり木に並んで押しあっていた”。それを見て生まれたのが「目白押し」という言葉だろうと説明している。
現在ではメジロにかぎらず野鳥を捕まえ飼うことは禁止されているので、鳥かごの中にいるメジロを見ることはできないが、野鳥に詳しい著者の説だけにこれは興味深い話だ。
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