消えたタワー(不忍池)
1999年夏に不忍池の遊歩道に立ったとき、ツリーというか五重塔のようなタワーが空に向かってそびえているのが見えた。国内資本のホテルとして建てられ、その後外資系ホテル・ソフィテル東京となった高さ約100mの高層ビルだ。
そのデザインが様々な議論を呼んだ建物だが、いまはもう見ることはできない。じつはこの建物は1994年に完成したが、2007年に解体がはじまり、わずか13年しか存在しなかった。これほど大きな建物が短命で解体されることはめったにないが、皆無ではない。
たとえば南千住にあった野球場東京スタジアム。こちらは1962年に完成し大毎オリオンズ(後のロッテオリオンズ)の本拠地となったが、1972年に運用が停止され1977年に解体、15年しか存在しなかった。完成時は夢の球場と呼ばれ最新設備を整えていたが、それを維持し更新するためのビジネスが追いつかず解体されてしまったそうだ。その結末にソフィテル東京に似たものを感じる。
それにしても上に載せた写真を撮ったときは、いずれ新しい建物が増えてこの景色も失われるだろうと思ったが、まさかこのタワーが消えるとは想像すらできなかった。
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