びんぼう自慢
「びんぼう自慢」(古今亭志ん生、毎日新聞社、昭和39年)は、落語家志ん生が自らの人生を語った本。ちくま文庫からも発行されているし古本屋でもよく見かけるが、なぜか今まで読んだことがなかった。
先日、それを手にする機会があった。自らの生い立ちから始まる話は、まるで落語のマクラのように軽妙で一気にひきこまれてしまう。いかにも落語家が目の前で語っているような文体なのだ。もしかして、これは聞き書きではと思いながら巻末の”楽屋帖・あとがきにかえて”(小島貞二)を読んだら、やはりそうであった。
ところで、この本を手にした理由は本の帯にある文言があったからだ。帯の最後に”志ん生師吹き込みのフォノシート添付”とあり、裏表紙を開くと小さな赤いフォノシート(いわゆるソノシート)が入った紙袋が貼り付けてある。今なら音源の付録はCD-ROMだが、それがレコードしかもソノシートなのがいかにも昭和の本らしい。
ソノシートに収録されているのは「蛙の遊び」となっている。これはどのような話だろうか。レコードプレーヤーを片付けてしまったので、残念ながら今は聴くことができない。落語に詳しいN先輩に会ったら、そのあらましを聞いてみようと思っている。
最後にソノシートについて補足すると、これは薄いフィルムのようなレコードで雑誌などの付録によく利用された。音楽や朗読などを収録したものが多かったが、パソコンが登場した初期にはデジタルデータを収めたものがフロッピーロムとして雑誌に挟まれていたこともあった。なおソノシートは朝日ソノラマの商品名なので、他社はフォノシートなど独自の名を付けた。
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